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日米欧 スマートグリッド事情

電力網を大きく分けると、発電~送電~配電~引込線~検針計~宅内配線/電化製品と階層化できる。


スマートグリッドが電力網更新の切り札として注目され、世界的に注目を浴びてから5年経つ。
各国それぞれに事情があり、電力網更新の優先項目が異なっている。
世界各国における電力網更新のルートマップを比較一覧する。

スマートグリッドとは何か?
オリジナルコンセプトは米国で発表されたが、それは「ICTで制御された効率的な電力網」であった。最近は、「ICTに制御された、出力が不安定な自然エネルギー発電も含めた効率的な電力網」と変わりつつある。それに伴い、当初は送電網に対する制御技術であったが、発電所からスマートメータまで含むデマンドレスポンス制御へと拡大しつつある。

スマートメータとは何か?
オリジナルコンセプトは「通信機能を持った電力計」であった。最近は、電力視覚化・デマンドレスポンス・HEMS/MEMSに適用される機能も付加され、消費電力抑制の役割も期待される。

これらの新技術により、電力網は以下のように変わっていく事になる。

米国

米国は、電力自由化が最も早く始まった国である。送電網を中心にした自由化が進んだが、この自由化がもたらした事は、送電網更新投資の縮小による送電網の旧式化・老朽化であり、停電事故の頻発であった。
この送電網の改革に向けて、IBM等がICTで制御された送配電網を提唱した。これに米国政府が各種予算をつけて、推進している。
すなわち、米国における電力網改革は、送配電網改革が発電所・電力メータに先行する形になっている。
とはいえ、Edison Foundation Institute for Electric Innovationは、2013年7月時点で4600万台のスマートメータ (米国世帯数の40%)が敷設されており、2015年には過半数の世帯にスマートメータが設置されると予測している。そして、実証実験は終わり、今後は収集した情報の統合・最適化であり、デジタル化された電力網の顧客に最大限の恩恵を与えるようにすることだ、とも述べている。

1992年 エネルギー政策法にて卸発電市場が全米大で実質的に自由化 (発電施設の所有・運転し電力を販売が実質的に自由化)
1996年 連邦エネルギー規制委員会(FERC)が、「送電部門と発電部門の機能分離」と「送電線の第三者利用者への開放」を電力会社に義務つける
2000年9月 カリフォルニア州で大規模停電発生 150万世帯が影響を受ける
2003年7月 米エネルギー省、「Grid2030」という送配電網近代化に関するレポートを発表
2003年8月 アメリカ北東部・カナダ南西部 5000万人が影響を受ける
2006年7月 ミズーリ州セントルイス大停電が発生。49万人が影響を受ける
2007年12月 スマートグリッド投資や試験プロジェクトに1億ドル拠出することを法律化
2008年2月 マイアミ周辺で停電。300万人が影響を受けた
2009年 スマートメーター導入開始
2009年2月 「米国再生・再投資法」にてスマートグリッドに110億ドル拠出を決定。
2011年9月 カリフォルニア州南部・アリゾナ州西部・メキシコの一部で停電。140万世帯に影響

 


出典; Greentechgrid (2013年5月)

 

欧州

欧州はスマートメータ導入が先行している。
それは、欧州では、電気量検針は毎月行われているとは限らず、又、検針メータが屋内にある、道路から離れた場所にあるといった事で検針が不可能で、利用者からの自己申告に依存しているケースもある。結果的に、電力消費量の測定が非常に不正確になっており、これの解消が課題になっていたからである。

主な国の進捗を以下にまとめる。

イギリス 2020年の大量導入完了を目処に推進中
フランス 2014年末で50%、2016年末に95%のメータのAMNシステム接続を目処に推進中
ドイツ 2011年に、新築建物、大幅改修建物、消費電力が6MWh/年以上の消費者におけるスマートメータ設置義務を2011年に法制化

送電網の改革は複数の国をまたぐ形で行われている。
例えば、英国、ノルウェー、デンマークなど北海沿岸の約10カ国は各国を高圧の海底直流送電線で結ぶ「スーパーグリッド」を進めているが、2020年頃の建設開始を目指して、現在、調査中である。
又、北アフリカで太陽光発電し欧州に輸出する「デザーテック計画」はモロッコとスペインの間で二本の送電線が稼働しているが、2050年に欧州電力の15%を供給という計画で動いている。
規模が大きいだけにより長期的な取組みがなされている。

日本

日本では電力網は垂直統合されていることもあり、送配電網は常に最新であった・電力計も屋外設置であり毎月、適切に検針され適切な料金回収がなされていた。
しかし、3.11東日本大震災の後、供給力不足と輪番停電が発生し、「大規模発電所による集中発電方式」の限界が露呈した。
また、福島原発の事故をきっかけとしての原発停止状態が続き、電力供給量の制限が恒常化しつつある。
一方、原発事故の影響力の大きさから、自然エネルギー発電が見直されつつある。
これらにより、消費電力抑制を含めたスマートメータの導入も始まっている。

今後、発電事業者の複数化とも相まって、日本の電力網は高度なデマンドレスポンス制御系の投入も予想され、ドラスティックな変化が起きると予想される。

1995年 発電が自由化。大手電力へ卸売りする独立系発電事業者(IPP)が可能に
1999年 大規模需要家向け電力小売りが自由化され、「新電力 (PPS)」が誕生。
2003年 中規模需要家向けの小売りが自由化。電力量の6割が開放され、現在に至る。
2009年11月 太陽光発電の固定価格買取制度が施行
2011年3月 東日本大震災が発生し、関東地方で輪番停電が発生。
2012年7月 再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施工

 

終わりに

以上、各国のスマートグリッドへの取組みをその歴史的背景を元に考察した。
いずれの国もその第一歩の課題は目鼻をつけており、システム的な、総合的な取組みに移行しつつある。
今後の展開が楽しみである。


出典; Navigant社“Smart Utilities: 10 Trends to Watch in 2014 and Beyond” (2013年4Q発行)

 

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筆者; 株式会社データリソース客員研究員 鈴木浩之 (株式会社 ICTラボラトリー)

 

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