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もう一つの俳優のストライキは320日間で解決

もう1つの俳優のストライキは320日間で解決

2023年に映画/テレビの制作スタジオと脚本家の組合(WGA)、それに俳優の組合(SAG-AFTRA)との契約が進まずに、ダブル・ストライキになり、映画とドラマの制作はほぼ完全にストップした。SAG-AFTRAのストライキは7月から118日間続き、11月に終わった。SAG-AFTRAのストライキはこれだけでは無い。ハリウッドに対するストライキと比べると話題性は低いが、SAG-AFTRAは昨年からゲーム開発会社とのストライキもしており、これは320日間続き、6月にやっと解決した。

SAG-AFTRAのメンバーには声優、それにモーション・キャプチャーの演者等が含まれ、ゲーム会社とのストライキの大きな争点もハリウッドの時と同様に、生成AIの利用である。生成AIの利用に関しては、スタジオとSAG-AFTRAは下記の内容で合意した。

  • スタジオが俳優のデジタル・レプリカを生成する場合、俳優から「明白、明瞭な」許可を得る必要がある。
  • そのデジタル・レプリカを利用する際、その都度に許可を得る必要がある。
  • また、スタジオはレプリカを利用する時には俳優が実際に出演したと同等の賃金と残余報酬を支払う。ただし、すでに俳優が出演した場面をデジタル・レプリカでリプレースする場合は、新たな支払いの対象にはならない。

ゲーム会社とのストライキは全企業が対象ではなく、Activision、Electronic Arts等の大手が対象であった。中小のゲーム会社とは別の交渉が行われ、SAG-AFTRAと合意し、ストライキは行われていない。大手ゲーム会社は新たな契約無しで、過去のパフォーマンスをAI生成で利用することを求めていた。

大手ゲーム会社とSAG-AFTRAは25項目中の24項目には合意したが、生成AIの利用に関してはゲーム会社の妥協は一切なく、320日間と言う長いストライキになった。しかし、最終的にはゲーム会社は俳優の音声、肖像、動作を生成AIで再利用する場合、演者の明確な了承を得ることに合意した。了承を得るだけでなく、過去のパフォーマンスをAIで再利用する際に利用料を払う必要がある。また、パフォーマンスをリアルタイムでの生成、例えばゲーム内のチャットボットの音声として利用する場合、最低賃金の7.5倍以上の料金を支払う。

この他、ゲーム会社は最低賃金を15.17%引き上げ、3年の契約期間中の毎11月に3%のベースアップを行うこと、それに医療/引退保険への寄与額の引き上げ等も含まれる。また、休憩時間、危険を伴うスタント等の場合の医療スタッフの立会いの義務等も新たに設定された。

 

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