スポーツ視聴に多チャネルサービスが不要になる

スポーツ視聴に多チャンネルサービスが不要になる

NFL、NBA、MLB等のメージャーなスポーツは4大地上波ネットワーク、それにESPN、Fox Sports、TNT等の多チャンネル向けネットワークで放送されている。地上波で放送されていても、アメリカの多くの世帯は地上波アンテナを持っていないので、スポーツを見るのには多チャンネルサービスへの加入が必要になる。コードカッティングが進んでも、まだ50%以上の世帯が多チャンネルサービスに加入しているのはスポーツを見るためである。

テレビドラマとリアリティー番組はDisney+、HBO Max等のTVネットワークのストリーミングサービスにより、多チャンネルサービスに加入しなくても視聴可能になっている。しかし、スポーツを見るためには多チャンネルサービスに加入する必要がある。NBCとCBSで放送されるスポーツはPeacock、あるいはParamount+で配信されているが、Disney、Fox、それにWarner Brothers Discovery（WBD）はTVネットワークで放送する試合はストリーミングしていなかった。DisneyにはESPN+があるが、これはテレビ放送が無い試合だけを配信している。

Disney、Fox、WBDは昨年秋に3社のスポーツ試合を配信するストリーミング・サービスのVenu Sportsを開始する予定であったが、独占禁止法に触れる可能性から中止になった。WBDはその後、HBO Maxの広告なしプランでTV放送している試合を配信し始めている。Disneyは秋にESPN、ESPN2、ESPN+、ABC等で放送する全試合を配信する新しいストリーミングサービスのESPN Unlimitedを開始する。FoxもDirect to ConsumerサービスのFox Oneを秋にローンチし、配信するコンテンツにはFox、Fox Sportsのスポーツ中継が含まれる。

今年の秋からついに、多チャンネルサービスに加入することなく、スポーツを見ることが出来るようになる。しかし、多チャンネルサービスに加入するより、安く、便利になる訳では無い。Paramount+とPeacockはそれぞれ広告付きは$8、HBO Maxの広告なしは$17、ESPN Unlimitedは$30である。Fox Oneの価格は発表されていないが、多チャンネルサービスの再送信料と同様にすると語っており、$20程度になる可能性がある。Fox Oneを$20とすると、5つのTVネットワークのスポーツをストリーミングで見るのに必要な金額は月$83で、vMVPDサービスのYouTube TVと同じ値段である。

また、昔はこれら5つのネットワークのチャンネルがあれば、メージャースポーツの試合を見ることが出来たが、現在はストリーミング事業者もスポーツの配信に乗り出している。NFLの木曜の試合（Thursday Night Football）の権利はAmazon Prime Video（広告付き$9）が得ている。MLBの金曜の試合はApple TV+（$10）が配信している。NFLのクリスマスの2試合はNetflix（広告付き$8）が権利を得ている。これらの試合も見たければ、$110を使い、8つのサービスに加入し、8つのアプリをナビゲートしなければならない。ケーブルTVの時代よりも高く、不便になっている。