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モバイルインフラ (通信事業者・機器ベンダ)、いよいよIoTデバイス巻取りに乗り出す。

モバイルインフラ (通信事業者・機器ベンダ)、いよいよIoTデバイス巻取りに乗り出す。

1. 序

無線通信技術は以下のように実用化されて、安定した品質を適切な価格で提供している。
– WAN環境 2G/3G/4G携帯、LTE、WiMAX
– LAN 環境 Wi-Fi (IEEE802.11シリーズ)
– PAN環境 Bluetooth、BLE、NFC、TransferJet

注) PAN; Personal Area Network;スマートフォン等を使われる通信ネットワーク

しかしながら、IoTネットワークはWAN/LAN/PAN環境で使われる場合もあるが、以下の点で、上記無線技術には合致しない部分がある。
– バッテリー駆動。しかも、バッテリーの有効期間は10年プラスアルファ
– 通信頻度は、月に一回程度。しかも、必要な帯域は数10kb/s
– モジュールのコストは数百円

通信事業者の取組みは2014年頃からあったが、その動きがLPWA (Low Power Wide Area)という名称で具体化されてきた。今回は、その動きを紹介する。

2. IoT環境における通信

現在、IoTデバイスのためのネットワークとしては、下図のような環境が想定されている。
即ち、IoTデバイスのデータを収集するためのネットワークを自分で構築するか (図1)、あるいは、IoTデバイスを携帯電話網に直接収容するか (図2) のいずれかである。

図1- IoT向けネットワーク (データ通信網は自営)


図2- IoT向けネットワーク (IoTデバイスを携帯網に直接収容)

IoTデバイスが狭い領域にある場合は、図1でもよいが、IoTデバイスが広域に散在している場合には図2の方が望ましい場合もある。
但し、通信の頻度・送信データ量を考えるとLTE網は通信費が高い、モジュール代が高い、バッテリーが不十分といったケースが多々ありえ、それが課題となる。

このような事情を背景に、考え出されたのがLPWA (Low Power Wide Area)である (図3)
ここにいたるまでのLPWAに関する各社の取組みを、表1のタイムラインに示す。


図3- IoT向けネットワーク (LPWA)

3. まとめ

IoT環境への通信事業者の関わり方には三つがある。
A) IoT環境ネットワーク構築は第三者に任せ、自分は土管ビジネスに徹する
B) 大容量を必要とするIoTデバイスにLTE/5Gサービスを提供する。
C) IoT環境へ通信サービスを提供すべく、LPWAを構築する。

今、欧米の携帯通信事業者は、(C)への対応を始めている。

ただ、注目すべきはHuaweiの動きである。5G携帯/大容量化では他社の後塵を拝したが、NB-IoTでは開発をリードしている。技術の境目は業界秩序を飛び越えるチャンスであり、Huaweiの動きはそれを見越してのことと思われる。

データ通信対応・大容量化は2G~4G/LTEまでの課題であり、5Gにとっても課題ではあろう。
但し、5GではLPWA対応というもう一つの課題が現れている。
この課題は、以下の三つに分割されるが、この事に日本企業はどう対応するか。
1) NB-IoTをHuaweiが推進しているが、開発のリーダシップをHuaweiがつかむことを、このまま座視するのか。
2) EricssonがGPRSの延長線にあるEC-GSMを推進している。ETSI StandardであるGSMの復活のインパクトをどう評価するか。
3) LTE-MTCでもEricssonが活発に動いている。日本は大容量化で開発のリーダシップを取っていたが、それを、どう生かすか?

携帯インフラに関連する日本企業は大きな分岐点に差し掛かっている。

又、端末部門・サーバ部門にとっては、IoTデバイスがつながる相手が自営網なのか、それとも、公衆網なのか?、も重要なことである。
それによって、実装するプロトコルスタックも変わるし、サーバのスケーラビリティも変わるだろう。又、セキュリティ機能の配置も変わってくる。

どの部門にとっても、複眼的・多面的な思考が求められている。
日本は、通信事業者・ベンダーのいずれにもしっかりとがんばって欲しいものである。

時期 出来事

時期 出来事
2015年以前
1月6日 Sigfox設立
2015年
1月6日 Rola Alliance発足
2月12日 NTTドコモ・ベンチャーズがSigfoxに出資。Sigfoxは1.5億ドルを調達
7月 ソフトバンクとEricsson、LTE-MTCのフィールドトライアル実施を発表 (実施時期は明記せず)
8月24日 GSMAが「Mobile IoT Initiative」を発足
目的は3GPP標準化の支援
9月24日 3GPP、NB-IoT標準化開始を発表
11月 EricssonとOrange、EC-GSMのトライアルを開始
12月21日 Huawei・Vodafone・スイスu-blox、スペインの商用ライブ・ネットワークにてNB-IoTの商業利用実験に成功
12月28日 Microchip社、LoRa無線モジュールが、LoRa Allianceから認証取得
年末 Sigfox、仏・西・英・蘭・米等を含む16カ国でサービスを提供
2016年
1月 Sigfox、南極でサービス開始 (科学観測に協力)
1月28日 AT&T、LPWAネットワークサービスを開始 (Ericsson/EC-GSM)
2月21日 Huawei、グローバルNB-IoTサミットを開催
3月1日 3GPP、LPWA標準化の現状を発表(LTE-MTC, NB-IoT, EC-GSM)
2Q(予) 3GPP、LPWA標準化完了
Huawei、NB-IoTを使った「スマートトラッキングシステム」を商用化
年末(予) Sigfox、100都市でサービスを提供
2017以降
2017年 Sigfox、アメリカで株式上場 (2017年か2018年)
2020年 5G携帯が大量導入

データリソース社が提供するLPWA関連レポート

世界のM2Mとモノのインターネット(IoT)通信の市場
Berg Insight社、2015年12月

M2Mの新たな市場:着実な成長を続ける促進要因は自動車、家電、公益企業
IDATE社、2015年12月

省電力広域ネットワーク(LPWA):モノのインターネットのための新たな分散型ネットワーク
Machina Research社、2015年11月

M2MとIoTとウェアラブル技術のエコシステム 2015 – 2030年:ビジネスチャンス、課題、戦略、垂直市場、市場予測
Signals and Systems Telecom社、2015年11月

筆者:株式会社データリソース客員研究員 鈴木浩之 (株式会社ICTラボラトリー代表取締役)

 

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