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LITHIUM PRICE OUTLOOK

リチウム価格推移
短中期見通し市場調査

EV電池、BESS、精製能力、在庫調整、先物市場の影響を踏まえ、リチウム価格の急騰後の調整局面と、2026年に向けた短中期の価格レンジを整理します。価格サイクルは、2022年型の急騰相場から、高変動だが低価格帯の新均衡へ移行しています。

$71,100
2022年 米国電池級炭酸リチウム実質平均価格
$9,000
2025年 固定契約価格の年間平均
$17,500
2026年2月18日 CIF Asia価格報告値
109kt
2026年 リチウム化学品市場余剰見通し LCE
リチウム価格市場の主要結論

リチウム価格を動かしているのは、EV販売台数だけではありません。足元では、在庫、赤字鉱山の供給弾力性、中国先物市場、BESS需要、政策ショックが複合的に作用しています。短中期のベースケースは、余剰は残るものの余剰幅が縮小し、極端な安値からは価格が下支えされる構図です。

急騰相場から新均衡へ移行

USGSの実質平均価格では、米国の電池級炭酸リチウム価格は2022年に71,100ドル/トンでピークを付け、2025年には9,000ドル/トンまで低下しました。

BESS需要が下支え要因

2025年後半から2026年前半にかけては、エネルギー貯蔵需要の拡大期待が価格反発の一因となりました。EVだけでなく、EV + BESSで需要を見る必要があります。

余剰は縮小するが逼迫ではない

S&Pは、リチウム化学品市場の余剰が2025年の14.1万トンLCEから2026年は10.9万トンLCEへ縮小すると予測しています。

政策・先物市場が値動きを増幅

中国当局の投機抑制、輸出還付見直し、鉱山停止、ジンバブエの輸出制約など、政策ショックと先物市場が短期価格を大きく動かしています。

短中期見通しの中心シナリオ

短中期で最も妥当な見立ては、「価格のフロアは切り上がったが、シーリングも低い」というシナリオです。2026年に2022年のような7万ドル/トン級へ戻る可能性は低い一方、2025年前半の極端な安値も、高コスト供給の退場によって持続しにくいと考えられます。

事業計画や評価モデルでは、悲観ケース9〜12ドル/kgLCE、ベースケース15〜18ドル/kgLCE、強気ケース20ドル台前半というレンジ発想が実務上扱いやすい水準です。

Floor Up / Ceiling Low
歴史的価格推移

下表は、USGSの実質平均価格ベースの年次推移です。2020年の約1万ドル/トンから、2022年に7万ドル超まで急騰し、その後2025年には9,000ドル/トンへ大幅に調整しました。

実質平均価格 ASCIIトレンド
2020 10,100ドル/トン ███
2021 14,200ドル/トン ████
2022 71,100ドル/トン ████████████████████
2023 41,300ドル/トン ████████████
2024 14,000ドル/トン ████
2025 9,000ドル/トン ███

2025年のスポット価格は、中国炭酸リチウムが1月約9,300ドル/トン、11月約10,300ドル/トンで推移し、固定契約価格の年間平均は9,000ドル/トンでした。一方、2026年初にはS&PがCIF Asia価格17,500ドル/トンへの回復を報告し、Reutersも中国の広州先物が2025年安値から大きく反発したと報じています。

需給バランス・在庫・投機の影響

価格形成では、鉱山生産と消費の差だけでなく、化学品ベースの余剰、BESS需要、在庫調整、先物市場の投機的な値動きが重要です。特に2025年安値圏では、高コスト生産の採算悪化が下値を抑える要因になりました。

指標 2024 2025 2026見通し コメント
世界鉱山生産
Li含有量, kt
240 290 USGSベース。2025年は+31%。
世界消費
Li含有量, kt
220 263 2025年は+20%。
リチウム化学品市場余剰
LCE, kt
141 109 S&Pは余剰縮小を予想。
化学品需要
LCE, Mt
約1.30前後* 1.48 2026年値はS&P見通し。
化学品供給
LCE, Mt
約1.44前後* 1.58 供給過剰は残るが幅は縮小。

*2025年の供給・需要は2026年成長率から逆算した概算であり、USGSのLi含有量系列とは単位が異なるため直接比較はできません。

価格を増幅する3つの短期要因

第一に、赤字化する高コスト硬岩鉱山がどこまで供給を絞るかです。S&Pは、2025年6月のCIF Asia 8,100ドル/トン時点では、世界生産のほぼ半分が非採算だったとしています。

第二に、中国先物市場です。2025年11月には中国当局の投機抑制で広州先物が急落し、2026年1月には輸出還付見直し、BESS需要期待、CATL鉱山停止が価格を押し上げました。

第三に、政策・輸出制約です。2026年2月にはジンバブエの輸出停止により、広州先物が一時18万元/トン近辺まで急騰しました。近年の価格形成は、現物需給だけでなく、政策ショック × 先物市場 × 中国需給見通しで増幅されています。

精製・電池材料コストへの波及

IEAは、2024年のリチウムイオン電池パック価格が20%下落し、2017年以降で最大の下げだったとしています。主因として、低いクリティカルミネラル価格と中国の競争圧力が挙げられます。ただし、電池パック価格の低下は原料安だけではなく、過剰生産能力、LFP化、マージン圧縮が複合して起きたものです。

材料価格

炭酸リチウム価格

原料価格は電池コストに波及しますが、単独ではパック価格を説明しきれません。精製マージンや契約形態も同時に見る必要があります。

技術ミックス

LFP / NCM構成

LFP比率の上昇は、電池コスト構造とリチウム需要の質を変えます。価格予測では化学体系別の需要内訳が重要です。

供給能力

セル供給と稼働率

セル供給能力の過剰、稼働率低下、メーカー間競争は、原料価格とは別に電池価格を押し下げる要因になります。

主要企業・プロジェクト比較

企業側の動きから見ると、2026年の市場は「超高値回帰」よりも、低〜中価格帯での採算管理と供給調整が中心です。一方、価格が戻れば休止資産や拡張案件が再稼働しやすく、上値を抑える要因にもなります。

主体 現在のシグナル 価格見通しへの示唆
Albemarle 2026年の平均リチウム市場価格ケースを約10/20/30ドルkg-LCEで提示。Kemertonを休止。 企業ベースでは「超高値回帰」より「低〜中価格帯での収益管理」を前提。
SQM 2026年需要+25%、Q1 2026までの上昇トレンド継続を想定。 需給改善は見るが、2022年型高騰ではなく正常化レンジを想定。
PLS Ngungaju再開、Pilgangoora拡張検討、2026年出荷ガイダンス維持。 価格が戻れば豪州供給が再び増えやすく、上値抑制要因。
Rio Tinto / Rincon 25億ドル拡張、2028年初生産見込み、40年マインライフ。 大手のカウンターシクリカル投資は2027年以降の供給増要因。
S&P Global 2026年余剰109kt LCE、価格回復で採算改善。 ベースケースは「余剰縮小」であり、全面的な逼迫ではない。
CRU 2026年の中国炭酸リチウム平均を約22ドル/kgと予想。 2025年平均9ドル/kgからの反発を見込むが、ピーク回帰ではない。
リスク評価と価格シナリオ

下振れリスクと上振れリスクは明確に分かれます。ただし中立ケースでは、余剰は残るものの、生産コストと需要改善によって価格が下支えされる可能性が高いと考えられます。

実務上の価格レンジ

調達側は固定価格偏重を避け、売り手側は価格回復局面でも増産タイミングを慎重に設計する必要があります。短中期のモデルでは、単一価格ではなくレンジで見る方が実務的です。

悲観ケース

9〜12ドル/kgLCE

EV・BESS需要が弱く、供給再開が進む場合の下方シナリオ。ただし高コスト供給の退場が下値を抑えます。

ベースケース

15〜18ドル/kgLCE

余剰は残るが縮小し、需要改善と供給調整によって価格が下支えされる標準シナリオです。

強気ケース

20ドル台前半

BESS需要、輸出制約、供給障害が重なった場合の上方シナリオ。ただし供給再開が上値を抑える可能性があります。

オープンクエスチョン / 限界

2026年の年平均価格は、まだ年央前であり確定していません。また、現物市場、長期契約、市場指標、先物価格では値動きの意味が異なります。そのため、単一指標だけで「リチウム価格見通し」を語ると誤差が出ます。

実務上は、現物価格長期契約価格スポジュメン連動価格の三系列を分けて確認し、さらに中国先物市場と政策イベントを補助指標として見るべきです。

引用サイト一覧

USGS 2025 lithium summary

リチウムの鉱山生産、消費、価格推移、需給状況を確認するための基礎資料。

USGS 2026 lithium summary

2025年の生産・消費・価格動向を含む、最新のリチウム市場整理資料。

S&P Global Energy

2026年のリチウム炭酸塩市場余剰縮小、エネルギー貯蔵需要、価格見通しに関する分析。

S&P Global Market Intelligence

価格回復が生産者マージンや非在来型供給に与える影響を整理した分析。

Albemarle IR

2025年決算と2026年価格ケース、事業運営方針を確認するための企業一次情報。

SQM IR presentation

SQMの2025年第4四半期資料。需要見通し、価格トレンド、企業側の市場認識を確認できます。

Reuters / lithium pricing and policy shocks

エネルギー貯蔵需要の拡大と、低迷したリチウム価格の反発要因を報じた記事。

Reuters / Zimbabwe export shock

ジンバブエの輸出停止が中国リチウム価格に与えた短期ショックを報じた記事。

Reuters / CRU average outlook

CRUによる2026年中国炭酸リチウム平均価格見通しを含む市場報道。

 

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