Hybrid Bonding
ハイブリッド・ボンディング市場調査
ハイブリッドボンディングの商用化では、メモリ本体やファウンドリーだけでなく、 装置・材料・プロセス統合・国内供給網が収益プールとして重要になります。 本ページでは、CMP、洗浄、低温Cu-Cu接合、搬送、自動化、有機インターポーザまで含め、 日本企業が取り得る市場機会を整理します。
Yole予測
Yole予測
TEL試算
SEAJ予測
エグゼクティブサマリー
Hybrid Bonding(ハイブリッド・ボンディング)で日本が最も取りやすい収益プールは、 メモリ本体やファウンドリーではなく、装置・材料・プロセス統合基盤です。 Yoleは世界の後工程装置市場が2030年に90億ドル超へ伸びると見ており、 TELはBonding Process Equipment TAMを2030年3000億円と試算しています。
したがって、日本の勝ち筋は、HBを単体装置として売ることではありません。 クリーン化、低温Cu-Cu、CMP、洗浄、搬送、パネルレベル、有機インターポーザ、自動化を束ね、 先端パッケージングのレファレンスフローとして提供することにあります。
ハイブリッドボンディング市場調査では、接合機単体の性能だけでなく、 前後工程を含めた供給網全体を見る必要があります。特に日本企業は、 装置、材料、洗浄、CMP、計測、搬送、自動化に強みを持ちます。
装置市場:ボンダー単体から統合フローへ
TEL、SCREEN、Besi、SUSS、EVG、ASMPTなどが、 W2W、D2W、洗浄、プラズマ活性化、メトロロジー、薄化、再ワークをめぐって競争しています。
競争の焦点は、単なる接合精度ではなく、CMPから検査までの歩留まり再現性をどこまで束ねられるかです。
材料市場:CMP・洗浄・絶縁膜が収益源
FujifilmのCMPスラリー、Resonacのパッケージ材料・JOINT3、 TOKなどの国内素材勢は、HBの量産化を支える重要な供給網です。
特にCuと酸化膜が共存する表面では、平坦化、清浄度、低温接合補助材料の品質が歩留まりを左右します。
政策・標準:NEDOとコンソーシアム型開発
METI/NEDOは、後工程高度化で製造装置・搬送装置の標準化と 生産効率30%改善を掲げています。
国内では、JOINT3のような複数社連携のパイロットラインが、量産前評価と標準化の土台になります。
供給網課題:ボンダー不足だけではない
HB供給網の難所は、認定済みボンダーの少なさだけではありません。 清浄化、歪み補正、薄化、材料供給、検査、パイロットライン不足が同時に問題になります。
量産では、装置間インターフェースと搬送自動化まで含めた一気通貫の設計が必要です。
Hybrid Bonding市場は、定義によって市場規模が大きく変わります。 「HBボンダー市場」「D2W HB装置市場」「後工程装置市場」「Bonding Process Equipment TAM」は範囲が異なるため、 数値比較では前提条件の確認が不可欠です。
市場の読み方
世界市場では、Yoleが後工程装置市場を2030年90億ドル超、約6%成長と見ています。 その中で、TCBとハイブリッドボンディングが13億ドル規模の拡張を牽引するとされています。 より狭い市場定義では、D2W HB装置市場は2025年2.75億ドル、2030年24億ドル超とされます。
日本市場では、SEAJが日本製半導体製造装置売上を2025年度4.86兆円、2026年度5.35兆円、 2027年度5.51兆円と予測しています。HB単独ではなく、先端パッケージングと前工程複合市場として捉えることが実務的です。
装置側では、W2W/D2W、洗浄、プラズマ活性化、薄化、メトロロジー、再ワークが競争領域になります。 材料側では、CMPスラリー、絶縁膜、低温Cu-Cu補助材料、洗浄薬液、有機インターポーザが国内供給網の中核です。
Tokyo Electron
Synapse Si、Cu hybrid/Fusion、再ワーク、薄化周辺を含めた統合領域に強み。 Bonding Process Equipment TAMを2030年3000億円と試算しており、 HBを前工程と先端パッケージの接続点として位置づけています。
SCREEN Holdings
低温Cu-Cuハイブリッドボンディング、WoW装置、洗浄一体化で独自色を出しています。 NikonのウェハボンディングR&D事業取得や、NEDO案件を活用した開発が注目されます。
Besi
100nm級ハイブリッドボンディング装置で先行する有力企業。 主要ロジック向けの大量受注実績があり、HB量産装置の立ち上がりを測る指標として重要です。
SUSS MicroTec
XBS300、XBC300 Gen2など、W2W/D2Wのラインアップを拡充。 HBM4以降でハイブリッドボンディング需要が増えるとの見方を示しています。
Fujifilm
ハイブリッドボンディング向けCMPスラリーを主要半導体メーカーに供給。 日米台韓欧の多拠点供給体制を持ち、平坦化材料の有力サプライヤーです。
Resonac
次世代パッケージ材料、有機インターポーザ、共創基盤で国内ハブ企業の役割を担います。 JOINT3を27社体制で組成し、パネルレベル有機インターポーザ試作ラインを構築しています。
ハイブリッドボンディング供給網フロー
HBでは「接合機」だけでなく、その前後にあるCMP、洗浄、表面活性化、アニール、検査、薄化、再配線、インターポーザ形成が同じ重みを持ちます。 国内供給網の強みは、この周辺工程を束ねられる点にあります。
ハイブリッドボンディングの量産課題は、接合精度だけではありません。 清浄度、歪み補正、CMP条件、搬送、検査、再ワーク率、装置間IFがコストと歩留まりを決めます。
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コストはフリップチップ比で高くなりやすい TELはHB製造コストがフリップチップ比で2〜3倍超と説明しています。 クリーンルーム、CMP、材料純度、検査、再ワーク工程が積み上がるためです。
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量産ボトルネックは認定済み装置と周辺工程 PwCは、次世代3Dパッケージ向けHBで認定済みウェハ/ダイレベルボンダーのベンダーがまだ少ないと指摘しています。 ただし実際には、洗浄、歪み補正、薄化、材料供給、パイロットライン不足も同時に制約になります。
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装置台数削減と再ワーク率低下が鍵 HBコストを下げる鍵は、単なる装置単価の引き下げではなく、 装置台数削減、再ワーク率低下、搬送・自動化の標準化、プロセス統合にあります。
ハイブリッドボンディング装置材料と国内供給網を把握するため、 主要企業の製品・技術、市場での位置づけ、注目案件を比較します。
| 会社 | 本社 | 製品・技術 | 市場での位置づけ | 注目連携・案件 |
|---|---|---|---|---|
| Tokyo Electron | 日本 | Synapse Si、Cu hybrid/Fusion、再ワーク、薄化周辺 | 前工程を跨ぐHB統合の中核候補 | Bonding TAMを2030年3000億円と試算 |
| SCREEN Holdings | 日本 | 低温Cu-Cu HB、WoW装置、洗浄一体化 | 低温Cu-Cuと周辺プロセスで独自色 | NikonのボンディングR&D取得、NEDO WoW開発 |
| Besi | オランダ | 100nm級HB装置、先端ダイアタッチ | HB量産装置の先行組 | 主要ロジック向け26台受注、2026年Q1もHB受注増 |
| SUSS MicroTec | ドイツ | XBS300、XBC300 Gen2、W2W/D2W | 研究開発から量産までラインアップが広い | HBM4以降でHB拡大を明示、Zhubei新拠点稼働 |
| Fujifilm | 日本 | HB向けCMPスラリー | 平坦化材料の有力供給者 | 主要半導体メーカー採用、多拠点供給体制 |
| Resonac | 日本 | パッケージ材料、有機インターポーザ、共創基盤 | 材料側の国内ハブ企業 | JOINT3を27社で組成、パネルレベル試作ライン構築 |
近接の1〜3年では、HBM4立ち上がり、BSPDN、CFET、3D実装、パネル/有機インターポーザ評価ラインが主要テーマです。 3〜7年では、有機RDL上の6µm級HB、光実装、CPO、パネルレベル量産が主戦場になります。
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装置メーカーへの提言 HB単機ではなく、CMP・洗浄・活性化・アライメント・再ワーク・薄化・検査を束ねた レファレンスフローとして販売することが重要です。
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材料メーカーへの提言 Cu/酸化膜共存面向けCMP、低温Cu-Cu補助材料、絶縁膜、洗浄薬液を HB専用品として規格化し、顧客認定を早期に獲得する戦略が有効です。
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政策当局への提言 JOINT3やNEDOのようなパイロットライン支援を継続し、 搬送、装置間IF、設計キット、材料評価まで含めた標準化を優先すべきです。
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投資家への提言 メモリ本体シェアよりも、装置出荷、顧客認定、試作ライン稼働、材料採用件数など、 採用前兆指標を重視することが有効です。
留意点:市場定義の違い
「HB市場」「D2W HB装置市場」「後工程装置市場」「Bonding Process Equipment TAM」は範囲が異なります。 特にTELの3000億円は、薄化・剥離などを含むTAMであり、HBボンダーだけの市場規模ではありません。 数値を引用する際は、対象範囲を明記する必要があります。
参考資料・引用サイト
Yole Group ─ Advanced Packaging fuels transformation in back-end equipment
後工程装置市場、TCB、Hybrid Bondingの成長見通しを整理した市場情報。
SEAJ ─ July 2025 Forecast for Semiconductor and FPD Manufacturing Equipment
日本製半導体製造装置売上、日本市場向け販売の予測資料。
Tokyo Electron ─ TEL IR Day
Bonding Process Equipment TAM、Hybrid Bonding関連装置の事業機会を示すIR資料。
Tokyo Electron ─ 半導体性能向上の鍵を握る新技術「ハイブリッドボンディング」
ハイブリッドボンディングの基本構造、技術課題、量産化の背景を説明した記事。
SCREEN Holdings ─ SCREEN IR Day 2025
低温Cu-Cu接合、WoWボンディング、洗浄一体化に関する事業説明資料。
Fujifilm ─ Advanced Packaging CMP Slurry
ハイブリッドボンディング向けCMPスラリーとグローバル供給体制に関する発表。
Resonac ─ JOINT3設立
次世代半導体パッケージ向けコンソーシアムとパネルレベル試作ラインに関する発表。
METI/NEDO ─ ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業 研究開発計画
後工程高度化、搬送・製造装置標準化、チップレット接合、光実装に関する政策資料。
SUSS MicroTec ─ Investor Presentation
XBS300、XBC300 Gen2、HBM4以降のハイブリッドボンディング需要に関する投資家向け資料。
Besi ─ Q1-26 Results
ハイブリッドボンディング装置の受注動向、先端パッケージング需要を確認できる発表資料。
Besi ─ Order for 26 Hybrid Bonding Systems
主要ロジック顧客向け26台受注に関する発表。HB装置の量産移行を示す重要資料。
