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表面処理・低VOC塗料市場

水性樹脂系塗料市場調査レポート

水性樹脂系塗料は、表面処理分野の中でも市場ボリュームが大きく、建築、建材、工業製品、重防食、家庭用まで用途が広い低VOC塗料です。本ページでは、JPMA統計をもとにした市場規模、成長要因、主要企業、用途別動向を整理します。

782.3億円
2025年市場規模
933.5億円
2030年ベースケース推計
+19.3%
2025年から2030年の拡大幅
低VOC
水系・粉体塗料の中核テーマ
水性樹脂系塗料市場の概要

本レポートの対象は、日本塗料工業会の統計における「水性樹脂系塗料」です。水性樹脂系塗料は、水を主媒体としながら、耐候性、防食性、付着性、作業性を高めることで、従来の溶剤系塗料を置き換える表面処理材料として位置づけられます。

Executive Summary

水性樹脂系塗料は、単独市場としての成長だけでなく、溶剤系塗料からの置換インフラとして見る必要があります。VOC排出抑制、公共工事仕様書、建築鉄部向け実証、工業塗装ラインの環境対応が同時に進んでおり、成長の主因は景気循環よりも「採用ルールの書き換え」にあります。

2025年の販売金額は782.3億円、2030年のベースケース推計は933.5億円です。粉体塗料よりも市場規模が大きく、成長率がやや緩やかでも、市場インパクトは大きい分野です。

市場規模推移

2021〜2025年はJPMA公表の販売金額、2026〜2030年はVOC抑制、公共・建築鉄部向け採用拡大、工業用途での置換を織り込んだベースケース推計です。

市場規模 区分
2021年616.5億円実績
2022年664.5億円実績
2023年788.7億円実績
2024年732.9億円実績
2025年782.3億円実績
2026年809.7億円推計
2027年842.0億円推計
2028年875.7億円推計
2029年906.3億円推計
2030年933.5億円推計
市場規模チャート

実績値とベースケース推計を同一スケールで可視化しています。

2021
616.5億円
2022
664.5億円
2023
788.7億円
2024
732.9億円
2025
782.3億円
2026
809.7億円
2027
842.0億円
2028
875.7億円
2029
906.3億円
2030
933.5億円
主要技術・用途領域

水性樹脂系塗料の普及では、単に水性であることではなく、溶剤系に近い塗膜性能、施工性、外観品質を確保できるかが重要です。

建築鉄部・公共仕様

建築鉄部では、防食性、耐候性、施工性が採用判断の中心になります。建築研究所や芝浦工業大学との性能確認試験により、水性塗料の採用余地が広がっています。

建築資材・建物分野

建物・建築資材は全塗料需要の大きな領域です。水性樹脂系塗料は、低VOC化と作業環境改善を両立しやすく、数量面でも市場を取りやすい分野です。

工業製品・塗装ライン

工業用途では、塗装ラインのVOC削減、乾燥工程、焼付条件、外観品質が重要になります。溶剤系からの置換には、工程全体での最適化が求められます。

重防食・インフラ

橋梁、構造物、インフラ分野では、長期耐久性と防食性能が不可欠です。大日本塗料などの水性塗料ラインアップは、重防食分野での展開余地を示しています。

家庭用・補修領域

家庭用や補修領域では、臭気低減、扱いやすさ、安全性が評価されます。水性化のメリットが生活者にも伝わりやすい領域です。

主要企業と競争状況

競争軸は、単なる製品スペックではなく、仕様書、顧客工程、施工ノウハウ、環境対応を含めた採用競争へ移っています。

日本ペイント・インダストリアルコーティングス

工業用塗料分野で、水性塗料、粉体塗料、電着塗料を横断的に展開。工業塗装ラインでの水性化において重要なプレーヤーです。

関西ペイント

溶剤、水性、粉体、電着まで幅広い塗料技術を持つ大手メーカー。建築・工業用途の双方で水性樹脂系塗料の展開余地があります。

大日本塗料

重防食・構造物向けに強みを持ち、水性塗料カタログも整備。建築、インフラ、防食用途での採用拡大が注目されます。

水性樹脂系塗料の採用普及プロセス

水性樹脂系塗料は、メーカー単独の製品投入だけではなく、性能確認、仕様書反映、公共・民間案件での採用を通じて普及が進みます。

1

性能確認

塗膜性能、防食性、耐候性、付着性を実証

2

仕様書反映

公共工事・建築仕様への採用可能性を拡大

3

施工ノウハウ

乾燥性、低温造膜性、作業性を現場で最適化

4

本格普及

建築、工業、重防食、家庭用へ用途展開

成長要因と課題

成長要因は、VOC排出抑制の制度・自主取組、東京都を含む公共・建築分野での仕様書反映、建築・金属・電気機械・機械など広い需要先です。水性樹脂系塗料は、環境対応と市場量の両方を取りにいける領域といえます。

一方で、乾燥性、低温造膜性、作業性、塗膜強度、外観品質の調整が課題です。溶剤系塗料から単純置換できない場面も残るため、塗料メーカーには用途別の設計力と施工支援力が求められます。

用途別・地域別の市場動向

水性樹脂系塗料は、建築・建材と工業用途の双方にまたがるため、需要先の広さが市場規模を支えています。

建物・建築資材

全塗料需要の最大分野であり、水性化のインパクトが大きい領域です。公共仕様や建築鉄部向けの採用拡大が市場成長を後押しします。

道路車両・自動車補修

補修、部材、関連工程で低VOC化のニーズがあります。品質と施工性のバランスが採用判断の焦点になります。

電気機械・機械・金属製品

製造集積地での需要が大きく、工業塗装ラインの環境対応と連動します。関東・甲信越、中部、近畿の製造集積と親和性が高い領域です。

将来展望と推奨戦略

中期的には、粉体塗料と水性樹脂系塗料の二本柱で、溶剤系塗料を置換する流れが続く公算が大きいと考えられます。

メーカー戦略

防食、建築鉄部、工業焼付の各分野で「溶剤系同等性能」を定量データとともに訴求し、ゼネコン、設計事務所、自治体仕様との接続を強めるべきです。

ユーザー戦略

塗料単価だけでなく、VOC削減、作業環境、調達要件、施工管理まで含めて導入評価を見直すことで、水性化の費用対効果が見えやすくなります。

市場展望

2030年には933.5億円規模を見込みます。成熟市場ではなく、環境対応と仕様変更によって更新投資が進む準成熟市場として捉えるのが適切です。

 

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