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デジタル印刷 / 商業印刷・出版

デジタル印刷の商業印刷・出版市場
市場調査レポート紹介ページ

商業印刷・出版分野では、印刷需要そのものは再編局面にある一方、デジタル印刷は短納期・小ロット・可変対応を武器に着実に存在感を高めています。とくに商業印刷・出版市場では、B2シートインクジェット、高速連帳インクジェット、Web-to-Print、可変データ印刷が競争軸となり、設備力だけでなく業務設計力まで問われる段階に入っています。

$165.5B
世界デジタル印刷市場価値
(2024年)
$209.1B
世界デジタル印刷市場価値
(2029年予測)
4.8%
2024〜2029年
CAGR
5.09兆円
日本 印刷・同関連業
出荷額等(2023年)
市場の全体像

商業印刷・出版市場では、従来型の大量一括印刷から、短納期・多品種・小ロット・パーソナライズへの移行が進んでいます。世界ではSmithersがデジタル印刷市場の拡大を示す一方、オフセット印刷は長期的に縮小基調と整理しています。日本でも印刷関連出荷額はなお大きいものの、事業所数は減少しており、供給側の集約と高付加価値化が同時進行しています。

世界市場はデジタル印刷が堅調拡大

Smithersによれば、世界のデジタル印刷市場価値は2024年の1,655億USDから2029年に2,091億USDへ拡大見通しです。出力量も同期間に1.95兆A4換算から2.41兆A4換算へ増加し、デジタル化の流れはなお継続しています。

縮小市場の中で伸びているのがデジタル印刷であり、商業印刷・出版市場における設備更新の主軸がオフセット維持からデジタル最適化へ移りつつあることを示しています。

オフセット市場は長期縮小基調

対照的に、世界のオフセット市場価値は2025年3,109億USD、2029年3,079億USDと、金額規模は大きいものの縮小基調が続く見通しです。

つまり市場の論点は「紙媒体が残るかどうか」ではなく、紙需要の中でどの工程・どのジョブをデジタル化し、どこまで収益を維持できるかへ変わっています。

日本市場は集約と高付加価値化が進行

日本の印刷・同関連業の製造品出荷額等は2023年に5兆934億円と大きな産業規模を維持していますが、事業所数は2024年に13,371まで減少しています。

JAGATも、商業印刷市場は2024年に微減基調としながら、カスタマイズ型デジタル印刷やBPO受託型需要の拡大を指摘しており、再編と成長領域が併存する構図です。

主要指標比較

商業印刷・出版市場を理解するうえでは、世界のデジタル印刷トップラインと、日本の産業規模・供給構造を並べて見ることが有効です。下表はSmithers、METI、JAGATの公開情報をもとに整理したものです。

指標 最新値 比較値・予測 示唆
世界デジタル印刷市場価値 2024年 1,655億USD 2029年 2,091億USD CAGR 4.8%で着実な拡大
世界デジタル印刷出力量 2024年 1.95兆A4換算 2029年 2.41兆A4換算 CAGR 5.5%でボリュームも拡大
世界オフセット市場価値 2025年 3,109億USD 2029年 3,079億USD 規模は大きいが長期縮小基調
日本 印刷・同関連業出荷額 2023年 5兆934億円 前年比 +0.9% 産業規模は依然大きい
日本 印刷・同関連業事業所数 2024年 13,371 前年比 -1.1% 供給側は集約進行

市場の核心は「印刷方式」ではなく「ジョブ対応力」

商業印刷・出版市場では、紙媒体が消えるのではなく、短納期・小ロット・多品種・可変対応に適応できる事業者へ価値が集中しています。デジタル印刷の成長は、単なる印字方式の置換ではなく、営業・前工程・後加工・受注管理まで含めた業務設計の再編を意味します。

そのため、設備単体の性能比較だけでなく、Web-to-Print、MIS、Pre-RIP、ジョブ集約、自動補正、後加工連携まで含めて競争力を見極めることが重要です。

主要プレーヤーと競争ポジション

競争軸は大きく、B2シート系デジタル印刷機高速連帳インクジェットに分かれます。商業印刷・出版市場では、画質そのものに加え、段取り時間の短縮、自動化、運用安定性、オペレーター依存の低減が重視されています。

B2トナー / LEP

HP

HP Indigo 120K、18Kなどの新世代機を投入し、既存顧客の更新需要と自動化需要を押さえる戦略です。既存インストールベースの厚みが強みで、商業印刷分野では守りが強いプレーヤーです。

B2シートインクジェット

Canon

varioPRESS iV7は中量〜高量域のオフセット置換を狙う位置づけで、商業印刷における量産対応力を強調しています。B2+領域での本格的なデジタル移行を後押しする存在です。

高速連帳インクジェット

富士フイルム

Jet Press 1160CF/CFGを軸に、書籍・DM・トランザクション用途へ強みを持ちます。書籍市場との親和性が高く、出版向けデジタル印刷での存在感が大きいメーカーです。

B2 HS-UVインクジェット

コニカミノルタ

AccurioJet 30000で乾燥工程不要・即後加工という差別化を前面に出しています。小ロット短納期のジョブを止めずに回したい商業印刷現場との相性が高い構成です。

工程自動化

リコー

Pro VC80000では150m/分の高速性に加え、リアルタイム自動補正や準備工程の自動化を訴求しています。人手不足下でも安定稼働できる生産体制を重視する提案が特徴です。

プレーヤー比較表

各社の競争力は、単なる速度比較ではなく、どのジョブをどの採算構造で取りにいくかによって決まります。商業印刷・出版市場での主戦場を整理すると以下のようになります。

プレーヤー 主戦場 競争上の位置づけ
HP B2トナー / LEP 既存顧客更新と自動化強化で守りが強い
Canon B2シートインクジェット 中量〜高量域のオフセット置換に強い
富士フイルム 高速連帳インクジェット 書籍・DM・ジャーナル領域で強い
コニカミノルタ B2 HS-UVインクジェット 小ロット短納期で差別化しやすい
リコー 高速連帳インクジェット 工程自動化と安定生産で訴求
技術トレンドと事業機会

商業印刷・出版市場のデジタル化は、機械の高性能化だけでは完結しません。B2化、工程自動化、後加工連携、可変データ対応、受注フローのデジタル化が同時に進むことで、初めて収益性が成立します。

市場課題と実務上の論点

導入障壁は機械価格だけではありません。価格転嫁の遅れ、資材費再上昇、設備投資の慎重化など、日本の商業印刷市場には依然として収益上の制約が残っています。JAGATが指摘するように、売上微減と採算圧迫が続く中では、設備導入だけでは十分でなく、営業・見積・工程設計の再構築が必要です。

第1段階:オフセット中心の大量生産体制

長らく商業印刷市場は、大ロット・同一仕様・見込み生産が主流でした。出版印刷でも版を前提としたコスト構造が一般的でした。

第2段階:短納期・小ロット案件の増加

販促物、DM、書籍の重版縮小などにより、短納期かつ少量のジョブが増え、デジタル印刷の優位性が明確になりました。

第3段階:可変印刷・BPO・自動化へ拡張

現在は、印刷単体ではなく、可変データ、受注管理、製本・封入・発送、販促運用支援まで含むBPO型の競争へ移っています。

次段階:業務設計を含めた再編競争

今後は、Web-to-PrintやMIS、標準化後加工、ジョブ集約を前提にした「止めずに回せる工場」が優位に立つ見通しです。

推奨視点:設備投資より先に業務設計を再構築する

商業印刷・出版市場でデジタル印刷の収益性を高めるには、印字品質の比較だけでは不十分です。ジョブ集約、Web-to-Print/MIS、Pre-RIP、標準化後加工、可変データ営業を一体で整備し、短納期・小ロット案件を止めずに処理できる体制をつくることが重要です。

 

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