協働ロボットの
市場調査レポート
少量多品種生産・省人化・安全重視の現場で導入が進む協働ロボットについて、市場規模、導入台数、主要メーカー、安全規格、補助制度まで整理した紹介ページです。ロボット単体ではなく、工程単位での自動化価値が見え始めていることが、この市場の実装フェーズを特徴づけています。
協働ロボット市場は、従来の大規模自動化とは異なり、比較的限られたスペースでも導入しやすく、人と近接した作業環境で使いやすい点が特徴です。市場売上高の予測値と、国際ロボット連盟(IFR)が示す設置実績は定義が同一ではありませんが、双方とも協働ロボットの実需拡大を示しています。とくに近年は、単純な人員削減より、タクト平準化、品質安定、高負荷工程の代替に価値が置かれています。
導入しやすさが成長の起点
協働ロボットは、安全配慮を前提に人と同じ作業空間で使いやすく、中堅・中小企業でも比較的導入検討しやすい領域です。多品種少量生産との相性がよく、既存ラインの一部自動化にも適しています。
一方で、実際の投資対効果はロボット本体だけでなく、ハンド、治具、ビジョン、安全設計を含むシステム全体で決まります。
市場は高成長だが定義差に注意
公開市場データでは、世界の協働ロボット市場は2025年14.2億米ドルから2030年33.8億米ドルへ拡大見通しです。これは調査会社ベースの市場売上高予測です。
一方、IFRの数値は新規設置台数であり、売上高とは直接比較できません。両者は「成長方向の一致」を確認する指標として使うのが実務的です。
日本市場は浸透局面へ
日本では、ISO 10218、ISO/TS 15066、JIS B 8433系列の整理が進み、協働ロボットの実装条件が以前より明確になっています。
加えて、中小企業省力化投資補助金のような制度的後押しがあるため、実証から横展開へ進みやすい環境が整いつつあります。
売上高予測と導入ボリュームを分けて整理すると、協働ロボット市場の見え方が明確になります。市場規模は調査会社予測、設置台数はIFR実績です。
| 指標 | 年次 | 数値 | 見方 |
|---|---|---|---|
| グローバル市場売上高 | 2025年 | 14.2億USD | 調査会社による市場売上高予測の起点 |
| グローバル市場売上高 | 2030年 | 33.8億USD | 市場の中期拡大余地を示す予測値 |
| 年平均成長率(CAGR) | 2025-2030年 | 18.9% | 産業機械分野では比較的高い成長率 |
| 世界の新規設置台数 | 2024年 | 64,542台 | IFR公表の導入ボリューム指標 |
| 産業用ロボット新規設置に占める比率 | 2024年 | 11.9% | 産業用ロボット全体に占める存在感の拡大を示唆 |
市場を見るうえでの実務上のポイント
協働ロボットは、ロボット単体の価格競争だけで評価すると実態を見誤りやすい市場です。実際には、導入可否は工程設計、安全評価、治具設計、周辺機器接続、SIコストまで含めて決まります。
したがって、PoC段階では「何台入れるか」よりも、「どの工程で何人分の負荷をどの程度平準化できるか」「品質や停止リスクをどれだけ抑えられるか」という観点で評価するのが有効です。
市場の差別化軸も、近年は可搬重量、リーチ、教示容易性、ビジョン・AI連携、エコシステムへ移っています。
協働ロボット市場の競争は、単なる可搬重量競争ではなく、導入しやすさと用途適合性の競争に移っています。代表的な製品を整理すると以下の通りです。
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Universal Robots / UR20 リーチ1750mm、可搬重量25kgの高可搬モデルです。パレタイズ、重量物ハンドリング、長距離搬送などに向く設計で、協働ロボットの適用領域を広げる代表機として見られます。
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ABB / GoFa CRB 15000 安全性、使いやすさに加え、Ultra Accuracyによる高い軌跡精度を訴求しています。接着、シーリング、レーザー加工、精密位置決め用途との相性が強みです。
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FANUC / CRXシリーズ 5〜30kg級の幅広い可搬帯を持ち、直接教示のしやすさや既存生産現場への組み込みやすさが評価されます。大手製造業の既存設備との親和性も競争力の一つです。
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安川電機 / MOTOMAN HC20DTP 20kg可搬に加えて、IP67対応を活かし、食品や洗浄工程など水・粉塵条件に配慮が必要な用途でも検討しやすいポジションです。
協働ロボットの価値は、単なる人件費削減ではなく、工程の再設計による生産性向上に出やすい点にあります。公開事例では次のような成果が確認できます。
日本ゼトック × Universal Robots
個箱入れラインで生産性30%向上、必要人員を2名から1名へ再設計した事例です。人を単純に減らすというより、梱包工程の負荷配分を見直した点が示唆的です。
SUS × ABB YuMi の示唆
公開紹介でよく参照される事例では、複数人で担っていた作業を少人数化しつつ、生産効率向上を実現したケースとして扱われます。協働ロボットの価値が「省人化+品質安定」で現れる典型例です。
評価すべきKPIは工程単位
成功事例では、サイクルタイム、停止時間、不良率、必要人員、教育負荷を工程単位で見ています。ロボット1台の価格だけで投資判断する設計は不十分です。
日本で協働ロボットを導入する場合、機器選定だけでなく、安全規格、リスクアセスメント、補助金制度を一体で見る必要があります。
安全規格
ISO 10218-1/2(JIS B 8433-1/2)とISO/TS 15066が、協働ロボット導入の安全面の基礎です。日本では厚労省資料が、ロボット本体だけでなくシステムとしての適合を重視しています。
定義の整理
農水省の食品工場向けガイドラインでは、関連文書TS B 0033における協働ロボットの定義が紹介されています。現場では「ロボット単体」ではなく、周辺機器を含む一連のシステムとして考える必要があります。
補助制度
中小企業省力化投資補助金は、人手不足対応と生産性向上を目的に、カタログ注文型と一般型の2類型で省力化投資を支援しています。協働ロボット導入は、補助金申請と安全設計を同時に進める方が実務上効率的です。
市場拡大が続く一方で、協働ロボットの導入には典型的なボトルネックもあります。
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柵なし導入の可否判断 「協働ロボットだから安全」とは限らず、実際にはアプリケーション単位のリスク評価が必要です。搬送物やエンドエフェクタの危険性も含めて判断しなければなりません。
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SIコストの重さ ロボット本体価格よりも、治具、ハンド、ビジョン、立上げ、教育の費用が重くなりやすいのが実務上の課題です。内製化力の弱い現場ではここが普及の壁になります。
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差別化はソフト統合へ 今後はアーム単体の性能だけでなく、AIビジョン、シミュレーション、周辺機器接続、ソフトウェア開発環境の差が競争力を左右します。
協働ロボット市場の制度整備と市場拡大を、節目ごとに整理すると以下のようになります。
2017年:TS B 0033で協働ロボット定義を整理
日本の関連文書で、協働ロボットの定義が明確化され、現場実装の前提条件が整理されました。
2024年:世界新規設置64,542台
協働ロボットの新規設置ボリュームが拡大し、産業用ロボット全体の中でも無視できない比率へ上昇しました。
2025年:世界市場14.2億USD
市場売上高ベースでも拡大が続き、調査会社予測では中期の高成長が見込まれています。
2026年:中小企業向け省力化支援が継続
補助制度の継続により、中堅・中小製造業でも導入ハードルを下げやすい環境が続いています。
2030年:世界市場33.8億USD
協働ロボットは、単発導入から複数工程への横展開へ進む市場に移行していく公算が大きいとみられます。
協働ロボット市場調査 関連リソース
IFR 2025産業ロボット資料
産業用ロボット全体の世界動向と、協働ロボット設置の伸びを確認するための基礎資料です。
MarketsandMarkets 協働ロボット市場
協働ロボット市場の代表的な有料調査レポート概要です。市場定義と予測期間の確認に向きます。
Research and Markets 流通要約
2025年14.2億USD、2030年33.8億USD、CAGR18.9%の市場予測を確認できる要約ページです。
厚生労働省 技術指針資料
ISO 10218、ISO/TS 15066、JIS B 8433系列を含む日本での安全実装の整理に有用です。
農林水産省 食品工場向けガイドライン
食品工場文脈での協働ロボット定義と活用論点を確認できます。
中小企業省力化投資補助金
カタログ注文型・一般型の制度概要を確認できる公式サイトです。
UR20 製品ページ
リーチ1750mm、可搬重量25kgの高可搬協働ロボットとしての仕様を確認できます。
ABB GoFa CRB 15000
GoFaの安全性、使いやすさ、高精度訴求を確認できる公式製品ページです。
