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動物医療 / ペットヘルスケア市場

小動物医療
市場調査レポート

日本の小動物医療市場は、犬猫の飼育頭数そのものよりも、高齢化1頭当たり医療支出の上昇保険普及診療高度化によって拡大する段階に入っています。本ページでは、犬・猫を対象とした国内小動物医療の市場構造、主要プレイヤー、成長要因、政策・保険の影響を整理してご紹介します。

4,565億円
2025年推計 小動物医療市場規模
1,567万頭
2025年 犬猫合計飼育頭数
13,046施設
2025年 診療施設数
5頭に1頭
国内ペット保険の普及イメージ
小動物医療市場の概要と定義

本ページで扱う小動物医療は、犬・猫を対象にした一次診療二次診療予防医療検査手術薬剤処方慢性疾患の継続管理を含む、国内のエンドユーザー支出ベース市場です。トリミングやフードなどの非医療支出は原則除外し、ペット保険は診療行動を左右する金融レイヤーとして別建てで位置づけます。

頭数減でも市場が伸びる構造

犬の飼育頭数は長期的に減少傾向にある一方、猫は高水準を維持しています。しかし市場全体は、頭数の増減よりも1頭当たり単価高齢化医療高度化の影響を強く受けています。

そのため日本の小動物医療市場は、量的拡大型というより、単価上昇と継続診療の積み上げで広がる市場として理解するのが実務的です。

市場推計の基本ロジック

市場規模は、犬猫の全国頭数に対し、調査サンプルの月額医療費を支出者比率で補正して年換算する方法で推計されています。2025年推計は約4,565億円です。

2020年から2025年のCAGRは約4.2%であり、多少の年次ぶれはあっても、中期的には拡大トレンドとみるのが妥当です。

保険とデータの影響力

アニコム損保アイペット損害保険は、単なる保険会社ではなく、窓口精算ネットワーク、請求データ、病院連携を通じて受診行動や単価形成にも影響します。

病院市場自体は分散的でも、保険データ基盤を持つ周辺プレイヤーの影響力は大きくなっています。

市場規模の推移と中期見通し

2025年の小動物医療市場は約4,565億円と推計され、2030年には約5,565億円まで拡大する前提です。前提条件としては、犬頭数が年0.5%減、猫頭数が年0.2%減と保守的に置かれる一方、1頭当たり実質医療支出が犬4%、猫5%で増加する構図が採用されています。

犬頭数 猫頭数 推計市場規模 市場の見方
2020 734万頭 863万頭 3,725億円 コロナ期を含む初期基準年。医療需要の底堅さが見え始めた段階。
2021 711万頭 895万頭 4,142億円 単価上昇と受診意欲の高まりが顕在化。
2022 705万頭 884万頭 3,620億円 サンプル変動の影響が大きく、単年値よりトレンド重視が必要。
2023 684万頭 907万頭 3,780億円 猫関連支出のばらつきは残るが、市場は回復基調。
2024 680万頭 916万頭 4,365億円 高齢化、画像診断、慢性管理の伸びが反映。
2025E 682万頭 885万頭 4,565億円 頭数より単価が市場を押し上げる典型的な局面。
2030E 5,565億円 継続管理、シニアケア、保険浸透が市場拡大の中心ドライバー。
成長要因と阻害要因

小動物医療市場の成長は、単純な飼育数ではなく、ペット家族化高齢化診療の高度化保険浸透によって支えられます。一方で、供給面では人材不足と救急体制の脆弱さが大きな制約になります。

主要プレイヤーと競争構造

病院市場は依然として分散型ですが、周辺領域では保険会社医療データ保有者の存在感が大きくなっています。全国シェア上位の病院グループがあっても、公開ベースで市場全体を精密に分解できる統計は限られています。

アニコム損保 / Anicom Holdings

ペット保険、医療データ、病院連携、予防関連サービスを展開する国内中核プレイヤーです。2025年3月期の正味収入保険料591.3億円とされ、契約件数ベースで国内首位を公表しています。

保険にとどまらず、データを活用した予防・行動変容の仕組みづくりが強みです。

アイペット損害保険

窓口精算ネットワークに強みを持つ保険会社で、2023年度の正味収入保険料354.5億円、2024年6月には保有契約件数90万件突破を公表しています。

診療現場との接点が強く、実際の医療利用と結びついたサービス展開が特徴です。

病院グループ・医薬品・検査企業

一次診療、二次診療、専門診療、救急を担う病院グループ各社は増えていますが、全国シェアとしてはなお分散的です。加えて動物用医薬品検査画像診断企業が医療単価上昇を支えています。

ただし、日本の小動物向け売上を個社別に精密把握できる公開情報は限定的です。

主要プレイヤー比較

小動物医療の競争構造は、病院の水平競争だけでなく、保険窓口精算データ基盤検査・医薬品供給が複合的に絡む構図です。

プレイヤー 主な製品・サービス 公開規模・ポジション 市場における意味合い
アニコム損保 / Anicom Holdings ペット保険、医療データ、病院連携、AI・予防関連 2025年3月期 正味収入保険料591.3億円 国内首位級。保険とデータを接続するハブ的存在。
アイペット損害保険 ペット保険、窓口精算病院ネットワーク 2023年度 正味収入保険料354.5億円、契約件数90万件突破 二強の一角。受診現場との接続が強い。
病院グループ各社 一次診療、二次診療、専門外来、救急 公開シェア統計は限定的 市場は分散。局地的なブランド力と専門性が競争力。
動物用医薬品・検査企業群 ワクチン、処方薬、検査、画像診断 国内小動物売上の個社開示は限定的 医療単価上昇と高度医療化を支えるインフラ層。
技術・サービスのトレンド

今後の小動物医療市場では、単発の高額手術だけではなく、継続管理術後フォロー在宅補助遠隔支援を含む周辺サービスがより重要になります。保険会社も、単なる償還機能から、予防提案・ネットワーク運営・データ活用へと役割を広げています。

予防・継続管理

予防医療と慢性疾患フォローの重要性

若齢期のワクチン・健診中心から、シニア期の慢性管理再診導線生活習慣支援へと重点が移っています。継続接点を持つ事業者ほど収益性が高まりやすい構図です。

高度医療

画像診断・外科・歯科の単価上昇

画像診断外科腫瘍歯科領域の高度化は、今後も小動物医療単価の上昇を支える主要テーマです。シニア動物の増加が特に追い風になります。

デジタル化

オンライン相談・遠隔フォローの制度整備

オンライン相談からオンライン診療への移行条件が整理されたことで、遠隔フォローやデジタル提供の足場が形成されつつあります。病院DXとの連動も重要です。

制度・保険・政策の影響

制度面では、農林水産省が愛玩動物のオンライン診療指針を示し、日本の小動物医療にデジタル提供のルールを整えました。海外と比べると、日本は米国ほど厳格でもなく、英国ほど自由化もしていない中間段階に位置づけられます。

2024年12月:日本でオンライン診療指針が発出

農林水産省が、愛玩動物におけるオンライン相談からオンライン診療への移行条件を整理。デジタル提供の制度的な土台が明確化しました。

2026年3月:関連ページ更新

制度情報の更新が行われ、日本国内での運用理解が進む段階に入りました。完全自由化ではなく、一定の枠組みの中で拡張される形です。

米国:VCPR下でのテレメディスン整理

米国ではAVMAが、既存のVCPR(獣医師・飼い主・患者関係)を前提にテレメディスンを扱う考え方を維持しています。

英国:Under Careガイダンス運用

英国では、物理的診察を絶対要件としない方向への運用が進み、日本より柔軟な制度設計がみられます。

注目ポイント:今後の勝ち筋は「高額単発」より「継続管理」

小動物医療市場では、単発の高額手術のみを追うモデルよりも、予防慢性管理シニアケアデンタル皮膚行動療法在宅補助など、再来院導線を持つ継続型の事業モデルが強くなりやすい局面です。

さらに、保険会社、検査企業、クラウドカルテ、遠隔読影、デジタル問診との接続は、病院単体の競争より高い資本効率を生みやすいと考えられます。

つまり、今後の投資・提携戦略では、病院そのものだけでなく、紹介予約読影継続課金を握る周辺インフラの評価が高まりやすい、というのが本レポートの実務的な示唆です。

事業参入・投資戦略の方向性

都市部の専門診療単独参入よりも、一次診療+予防会員+保険・データ連携の複合モデル、あるいはバックオフィス共同化夜間救急連携遠隔読影を束ねるプラットフォーム型の方が、今後の小動物医療市場では合理的です。

 

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