ECMOの市場規模と
成長予測レポート
体外式膜型人工肺(ECMO)に関する世界市場・日本市場の規模推計、成長率、需要拡大要因、主要イベントを整理した市場調査ページです。 狭義のECMO machine marketと、より広義のECMO関連市場を切り分けながら、公開情報ベースで比較しやすい形にまとめています。
公開情報ベースで最も整合的に比較できる「ECMO machine market」を採ると、世界市場は2023年に3.079億米ドル、2024年に3.229億米ドル、2030年に4.457億米ドルへ拡大する見通しで、2024–2030年CAGRは5.5%です。日本市場は2023年に1,760万米ドル、2030年に2,800万米ドルへ拡大する見通しで、CAGRは6.8%と世界平均を上回ります。さらに、より広義のECMO市場では2025年4.755億米ドル、2026年4.866億米ドルという上位レンジも公開されており、市場定義の違いが市場規模差の主因です。北米は2023年に世界市場の39.5%を占める最大市場、アジア太平洋は最速成長地域で、日本は同地域内で最速成長国とされています。
世界市場は緩やかな拡大基調
Grand View Researchの狭義定義では、世界のECMO machine marketは2024年3.229億米ドルから2030年4.457億米ドルへ拡大する見通しです。市場の中核は重症呼吸不全・循環不全領域ですが、導入病院の増加と装置性能向上が成長を支えています。
日本市場は高成長国の位置づけ
日本市場は絶対額では大きくありませんが、2023年1,760万米ドルから2030年2,800万米ドルへ拡大し、CAGR 6.8%と世界平均を上回る見込みです。アジア太平洋地域内でも相対的に成長期待の高い市場として扱われています。
市場定義差が規模差を生む
Global Market Insightsの広義市場では2025年4.755億米ドル、2026年4.866億米ドルと、Grand Viewより大きいレンジが示されています。装置本体だけでなく、構成品や用途範囲、周辺消耗材の取り込み方の違いが、公開市場規模の差を生んでいます。
本ページでは、世界市場と日本市場を同一系列で比較しやすいように、狭義のECMO machine marketを基準にしつつ、広義市場を補助レンジとして整理しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象期間 | 2020–2030年 |
| 主データ出典 | Grand View Researchの世界・日本ページ、Global Market Insights、ELSO、メーカー年次報告・公式発表 |
| 主要仮定 | 世界・日本とも、年次系列は同一定義の公開値を優先。2023/2024/2030の公開値をアンカーにし、欠落年は同CAGRで外挿・遡及推計 |
| 推計方法 | 世界市場はGrand Viewの2023、2024、2030値と2024–2030 CAGRを基準に補間。日本市場はGrand View Japanの2023、2030値とCAGRを基準に補間。広義市場はGMIを補助的な上限レンジとして比較 |
| 不確実性の中心 | ①市場定義差、②COVID-19後の正常化、③規制・供給制約、④価格非公開比率の高さ |
下表は、定義の一貫性を優先して作成した狭義機器市場の推計系列です。2023・2024・2030は公開値、それ以外の年次は同CAGRによる著者推計です。
| 年 | 世界市場 規模 | 日本市場 規模 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2020 | 2.62億米ドル | 1,442万米ドル | 著者遡及推計 |
| 2021 | 2.77億米ドル | 1,541万米ドル | 著者遡及推計 |
| 2022 | 2.92億米ドル | 1,647万米ドル | 著者遡及推計 |
| 2023 | 3.079億米ドル | 1,760万米ドル | 公開値 |
| 2024 | 3.229億米ドル | 1,881万米ドル | 世界は公開値、日本はCAGR補間 |
| 2025 | 3.41億米ドル | 2,010万米ドル | 著者推計 |
| 2026 | 3.60億米ドル | 2,147万米ドル | 著者推計 |
| 2027 | 3.79億米ドル | 2,295万米ドル | 著者推計 |
| 2028 | 4.00億米ドル | 2,452万米ドル | 著者推計 |
| 2029 | 4.22億米ドル | 2,620万米ドル | 著者推計 |
| 2030 | 4.457億米ドル | 2,800万米ドル | 公開値 |
ECMO市場の成長は、単なる症例増だけではなく、重症治療体制の高度化、装置性能の向上、病院側の運用能力整備が複合的に作用して進んでいます。
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循環・呼吸不全への導入拡大 Grand View Researchは、cardiopulmonary / respiratory disease の増加を市場拡大要因として挙げています。重症患者対応の選択肢として、ECMO導入の臨床基盤が広がっています。
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搬送性・監視機能などの技術進歩 GMIは技術進歩を主要成長要因に含めており、TerumoもECLS/ECMO市場の安定成長を明示しています。小型化、搬送対応、モニタリング機能強化は、導入施設の拡大を後押しします。
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病院の能力整備と人材育成 厚生労働省はECMO・人工呼吸器管理研修を継続実施しており、病院チーム単位での運用能力向上を支援しています。導入装置そのものだけでなく、運用可能な人材の整備が市場形成の前提になっています。
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COVID-19後も続く利用基盤の拡大 ELSOレジストリの累計提出症例は増加を続けており、パンデミック時の単年需要ショックにとどまらず、訓練・備蓄・搬送体制整備を含む長期的な利用基盤の拡大が続いています。
狭義機器市場と広義ECMO市場は分けて見る必要があります
世界と日本を同一系列で比較しやすいのはGrand View ResearchのECMO machine marketです。一方、Global Market InsightsのECMO marketはより広い定義を採っている可能性が高く、2025年4.755億米ドル、2026年4.866億米ドルと、より大きな市場レンジを示しています。
したがって、投資判断や事業計画では、「狭義の装置市場」と「広義の関連市場」を分けてレンジ管理する構成が実務的です。市場規模の絶対値だけを横並びで比較すると、定義差による誤認が生じやすくなります。
参考出典として、Grand View Research、 Global Market Insights、 ELSO Live Registry Dashboard などを併読すると全体像を捉えやすくなります。
COVID-19はECMO市場に対して単年の需要押し上げだけでなく、病院の備蓄、訓練、搬送体制整備、メーカーの生産能力増強まで含む供給側投資を引き起こしました。
Getinge
2020年通年でECMO therapy productsへの需要が高水準で推移したと説明しており、パンデミック下でECMO関連製品の需要が大きく伸びたことを示しています。
Fresenius Medical Care
重症COVID-19患者対応のため、Novalungコンソールの増産を進めたと説明しています。需要対応だけでなく、供給安定化が重要論点だったことが読み取れます。
Terumo
ECMO生産能力を年100台規模から約2倍へ引き上げたと説明しており、パンデミックを契機に供給体制そのものを強化した代表例といえます。
市場規模と症例数は同一ではありませんが、ELSOレジストリはECMOの利用基盤が拡大していることを示す重要な補助指標です。
2022年報告時点
2009–2022年に15万4,568回のECMO run、780施設が登録し、うち2022年には557施設が報告していました。症例と施設の双方で利用基盤が広がっていたことが確認できます。
2026年4月アクセス時点
ELSOライブダッシュボードでは累計提出症例が27万8,396件、成人症例が17万8,879件と確認されており、パンデミック後も利用基盤が積み上がっていることがわかります。
市場への示唆
利用施設数・症例基盤の拡大は、装置本体だけでなく、回路や関連消耗材の持続的需要を支える要因です。市場の底堅さを見る上で重要な補助データといえます。
日本は金額規模では大型市場ではない一方、成長率では相対的に高い市場です。高度急性期病院、救命救急センター向けの高付加価値市場としての拡大余地があります。
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世界シェアは小さいが存在感はある 日本市場は2023年の世界市場に対して5.7%を占めています。規模は限定的でも、先進医療機器としての導入余地が残る市場です。
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アジア太平洋内で最速成長国の一つ Grand Viewの国別見通しでは、日本はアジア太平洋地域内で最速成長とされています。導入施設の高度化、人材育成、制度整備が成長を後押しします。
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厚労省の人材育成施策が下支え 厚生労働省は2025年度もECMO・人工呼吸器管理研修を実施しており、病院チーム単位での対応力向上が導入拡大の基盤になっています。
本文で議論した需要変化、制度整備、製品開発を時系列で整理すると、次のようになります。
2020年
COVID-19でECMO需要が急増。Getingeが高需要を報告し、FreseniusがNovalungを増産、Terumoが生産能力倍増に着手しました。
2022年
日本でHLS Set Advanced-LTが保険収載され、長期使用ECMO回路に関する償還整備が進みました。
2024年
Xenios 2.0がMDR承認を取得。ELSO症例基盤もさらに拡大し、装置・運用の両面で市場の成熟が進みました。
2025年
Terumoが新型ECMO装置を発売し、厚生労働省がECMO人材育成事業を継続。装置導入と運用能力整備の両輪が続いています。
2026年
Cardiohelp IIがCEマークを取得。広義市場では4.866億米ドルの見通しが示され、製品世代交代と市場レンジの拡張が意識される局面です。
引用サイト一覧
Grand View Research
世界のECMO machine marketに関する市場規模・成長率の基準系列として参照。
Grand View Research Japan
日本市場の規模推計と成長率を確認するために参照。
Global Market Insights
より広義のECMO marketとして、上位レンジの市場規模比較に使用。
ELSO Live Registry Dashboard
累計提出症例や成人症例数など、利用基盤の拡大を示す補助指標として参照。
ELSO Registry International Report 2022
2009–2022年のECMO run数や登録施設数の整理に使用。
Getinge Full Year Report 2020
パンデミック期のECMO therapy products需要の増加確認に使用。
Fresenius Medical Care Annual Report 2020
Novalungコンソール増産に関する確認用出典。
Terumo COVID-19 initiative
ECMO生産能力増強に関する公式説明を確認するために参照。
厚生労働省 ECMO・人工呼吸器管理研修
日本におけるECMO人材育成施策の確認に使用。
Fortune Business Insights
高コストを市場抑制要因として示す補足出典。
