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老人介護・障害者支援市場レポート

通所介護市場
市場調査レポート

通所介護・地域密着型通所介護市場は、在宅生活を支える介護保険サービスの中核です。 本ページでは、老人介護と障害者支援市場の周辺領域を踏まえながら、通所介護市場の市場規模、主要プレイヤー、需要構造、収益モデル、制度改定、DX、将来予測を整理します。

1兆7,584億円
2024年度 通所介護市場規模
0.9%
2020〜2024年度 CAGR
76.1%
通所介護の構成比
84.0%
要介護1〜3の受給者構成
Executive Summary

通所介護市場は、老人介護領域のなかでも利用者・家族接点が広いB2C型サービスです。 市場は巨大ですが、2020年度から2024年度の成長率は年平均約0.9%にとどまり、成熟市場としての色合いが強くなっています。 一方で、軽中度者の生活機能維持、入浴、食事、見守り、社会参加、家族介護者のレスパイト需要は安定しており、需要消失リスクは低い市場です。

事業者にとっての論点は、単純な拠点数拡大ではありません。 重要なのは、稼働率送迎効率入浴介助加算個別機能訓練栄養・口腔関連加算LIFE対応を組み合わせた収益設計です。 2024年度介護報酬改定以降は、単なる預かり型デイから、機能訓練・認知症対応・入浴・食事価値を持つ専門型デイへの転換が収益差を生みやすくなっています。

トピック定義と市場の見方

本ページでは、通所介護市場を「通所介護+地域密着型通所介護」の合算市場として扱います。 通所リハビリテーションは、医療・リハビリ色が強く、報酬構造も異なるため、原則として除外しています。

市場範囲

本レポートの対象は、通所介護地域密着型通所介護です。 民間事業者の運営実態では、送迎、入浴、食事、レクリエーション、機能訓練などのサービス構造が近く、利用者・家族から見た代替性も高い領域です。

市場性格

通所介護市場は、低成長ながら需要が底堅い成熟市場です。 高齢者本人の生活機能維持だけでなく、家族介護の負担軽減を支えるレスパイト市場としての性格を持ちます。

競争軸

競争軸は、価格よりも体験価値運営効率です。 具体的には、入浴、食事、認知症対応、機能訓練、送迎品質、家族への情報共有、居宅介護支援との連携が差別化要因になります。

障害者支援市場との接点

通所介護は介護保険領域が中心ですが、広義の老人介護と障害者支援市場では、日中活動支援、送迎、生活機能維持、家族支援という共通課題を持ちます。 人材・送迎・記録システムの共通化は、複合事業者の論点になります。

収益上の焦点

収益改善の焦点は、基本報酬依存からの脱却です。 加算取得、送迎ルート最適化、曜日別稼働率改善、専門型サービスへの転換が、利益率改善の主要手段になります。

市場規模の推移

推計式は、市場規模 = 通所介護費用額累計 + 地域密着型通所介護費用額累計です。 2020年度から2024年度までの推移を見ると、コロナ期を挟んで横ばいが続いた後、2023年度以降に緩やかに回復しています。

年度 市場規模 前年比 市場評価
2020年度 1兆6,953億円 コロナ期の影響を受けつつも、在宅支援ニーズを背景に大きな市場規模を維持。
2021年度 1兆6,905億円 -0.3% 感染対策・利用控えの影響が残り、微減。
2022年度 1兆6,884億円 -0.1% 横ばい圏で推移し、成熟市場としての安定性が目立つ。
2023年度 1兆7,329億円 +2.6% 利用回復と加算取得の影響により、再び拡大。
2024年度 1兆7,584億円 +1.5% 大幅成長ではないが、安定拡大型の市場として継続。
通所介護・地域密着型通所介護市場規模の推移
2020
16,953億円
2021
16,905億円
2022
16,884億円
2023
17,329億円
2024
17,584億円

通所介護

76.1%。通常規模型・大規模型を中心に、全国チェーンや複合介護事業者が展開しやすい領域です。

地域密着型通所介護

23.9%。小規模・地場色が強く、地域の生活圏に密着した少人数型サービスと相性がよい領域です。

主要プレイヤーとサービス比較

通所介護市場では、単独のデイサービス運営だけでなく、訪問介護、居宅介護支援、老人ホーム、障がい支援、福祉用具などとの連携が競争力になります。 ここでは代表的な大手・準大手プレイヤーを比較します。

事業者 デイサービス特徴 強み 補完導線 公式情報
ツクイ デイサービスを中核に長年展開。 豊富な運営実績、人材育成、在宅介護サービス網。 在宅サービス、居住系サービス、介護相談導線。 ツクイ デイサービス
ニチイ学館 通所介護を全国で提供。 約1,900拠点規模の総合介護ネットワーク。 訪問介護、居住系サービス、家事代行等との接続。 ニチイ 通所介護サービス
SOMPOケア 一般デイに加え「ハッピーデイズ」などを展開。 食事、体験価値、オンライン活動、居住系との連動。 訪問介護、老人ホーム、ケアマネジメント。 SOMPOケア 通所介護
ALSOK介護 「遊」「かたくりの里」ブランドで展開。 イベント、レクリエーション、地域密着色。 入居系サービス、訪問介護、居宅介護支援。 ALSOK介護 デイサービス
ケア21 一般デイ、認知症対応型、機能訓練強化型を運営。 専門特化型ラインの多さと横断運営。 訪問介護、障がい支援、施設系サービス。 ケア21 デイサービス事業
プレイヤー別の戦略的な見方

大手介護事業者は、通所介護単体で利益を最大化するだけでなく、居宅介護支援や訪問介護、施設系サービスとの連携によって利用者接点を広げています。

ツクイ ─ デイサービス運営の厚み

通所介護を在宅介護サービスの主要接点として活用。標準型デイの運営ノウハウと人材育成が強みです。

ニチイ学館 ─ 全国ネットワーク型

全国拠点網を背景に、地域ごとの介護ニーズを拾いやすい構造。訪問介護や居住系との接続が可能です。

SOMPOケア ─ 体験価値型

食事、オンライン活動、レクリエーションなど、単なる預かりではない体験価値を打ち出しやすい事業者です。

ALSOK介護 ─ 地域密着・イベント型

地域イベントや生活参加型のプログラムにより、本人の社会参加と家族の安心感を訴求しやすい構造です。

ケア21 ─ 専門特化ライン

認知症対応型、機能訓練強化型など、ニーズ別にデイサービスを分ける戦略と相性があります。

需要動向と顧客セグメント

通所介護の中心顧客は、要介護1〜3の軽中度層です。 重度者市場というより、日中の見守り、入浴、食事、生活機能維持、孤立防止、家族介護者の休息を支える市場として見るべきです。

収益モデルと改善プロセス

収益モデルは、日額の介護報酬 × 利用回数 + 加算 + 食費等の実費収入です。 2024年度市場規模と月間受給者数から見た簡易月次売上 proxy は、1人当たり約12.4万円/月です。

1

稼働率管理

曜日別・時間帯別の定員充足率を可視化し、空き枠を減らす。

2

送迎効率化

送迎ルート、車両、商圏範囲を見直し、移動コストを抑える。

3

加算取得

入浴、個別機能訓練、栄養・口腔、ADL維持等を組み合わせる。

4

LIFE対応

データ提出と記録業務を標準化し、質評価への対応力を高める。

5

専門化

認知症、入浴、機能訓練、食事などの強みを明確化する。

制度改定・DX・加算取得が収益差を生む

2024年度介護報酬改定では、通所介護等の入浴介助加算、LIFEへの提出頻度、ADL維持等加算、アウトカム評価などが見直されました。 これは、単なる事務負担の変更ではなく、介護サービスの質をデータで示す方向への移行と捉えるべきです。

通所介護市場におけるDXは、ロボット化よりも、送迎計画モバイル記録機能訓練プログラム管理栄養・口腔情報の連携事故予防で効果が出やすい領域です。 とくに地方では、送迎ルート最適化と稼働率改善が営業利益に直結します。

制度対応の詳細は、厚生労働省の 令和6年度介護報酬改定における改定事項 および 科学的介護情報システム(LIFE)について が基礎資料になります。

将来予測とリスク要因

2025〜2029年度のベースライン成長率を2.0%と置くと、2029年度の市場規模は約1兆9,414億円です。 弱気ケースでは横ばい、強気ケースでは約2兆884億円まで拡大する余地があります。

弱気ケース
1兆7,584億円

成長率0%。人手不足、送迎コスト、地域人口減少により市場が横ばいで推移するシナリオです。

ベースラインケース
1兆9,414億円

年率2.0%。認知症対応、機能訓練、入浴、食事強化などの専門化が緩やかな成長を支えるシナリオです。

強気ケース
2兆884億円

年率3.5%。加算取得、DX、稼働率改善、専門デイの普及が進むシナリオです。

事業者向け推奨戦略

通所介護市場は、需要が安定している一方で、労務費・送迎費・食材費・水光熱費の上昇を受けやすい市場です。 そのため、一般型デイのまま総量勝負をするのではなく、サービス設計と運営KPIの再構築が必要です。

専門化

認知症・入浴・機能訓練・食事のいずれかで強みを作る

標準型デイのままでは比較対象が多くなります。選ばれる理由を明確にするため、専門性を持つサービスラインを設計することが重要です。

送迎効率

商圏・車両・時間帯をKPI化する

送迎効率は、通所介護の利益率を大きく左右します。利用者密度、送迎時間、車両稼働率を定期的に見直す必要があります。

加算戦略

基本報酬依存から脱却する

入浴介助、個別機能訓練、栄養・口腔、ADL維持等加算を組み合わせ、利用者単価の底上げを図るべきです。

複合導線

居宅介護支援・訪問介護・福祉用具と連携する

自社内または地域内での紹介導線を強化することで、稼働率を安定させやすくなります。単独拠点よりも複合運営の優位性が出やすい市場です。

人材配置

軽中度向けと中重度向けの運営を分ける

利用者状態が混在しすぎると、職員負担と事故リスクが高まります。サービスラインを分け、配置とプログラムを最適化することが望まれます。

データ活用

LIFE入力と記録業務を標準化する

制度対応を現場任せにせず、記録・評価・提出の業務フローを標準化することで、加算取得と品質改善を両立しやすくなります。

 

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