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日本食市場・海外需要・輸出ビジネス機会

海外における日本食需要
輸出ビジネス機会 市場調査レポート

海外の日本食市場は、寿司・ラーメンの定番化から、緑茶、米、ぶり、和牛、発酵調味料、冷凍惣菜まで広がる構造拡大型の市場です。 本ページでは、農林水産物・食品輸出額海外日本食レストラン数を軸に、日本食需要の拡大、主要国別の商機、流通チャネル、輸出ビジネス機会を整理します。

1兆7,005億円
2025年 日本の農林水産物・食品輸出額
約8.3%
2021〜2025年 輸出額CAGR
18.1万店
2025年 海外日本食レストラン数
2,762億円
2025年 最大輸出先・米国向け輸出額
Executive Summary

海外日本食需要は短期変動を伴いながらも、構造的には拡大基調にあります。 日本の農林水産物・食品輸出額は2025年に1兆7,005億円と過去最高を更新し、2021年から2025年までの4年間CAGRは約8.3%です。

需要の実店舗指標である海外日本食レストラン数は、2021年15.9万店、2023年18.7万店、2025年18.1万店と推移しました。 2023年比では微減したものの、2021年比では高水準を維持しており、日本食の接点は世界市場に定着しています。

事業機会は、従来の日本人向け・日系向け販路に限られません。 現地の主流小売、EC、B2Bレストラン調達、非日系外食チェーンへ販路を広げられる企業に、次の成長機会が集中します。

日本の農林水産物・食品輸出額推移

2021〜2025年。輸出額は13年連続で過去最高を更新し、2025年は前年比12.8%増となりました。

2021
1兆2,382億円
2022
1兆4,148億円
2023
1兆4,547億円
2024
1兆5,071億円
2025
1兆7,005億円

出所:農林水産省「農林水産物・食品の輸出実績」

海外日本食レストラン数推移

2023年比では微減したものの、2021年比では大きく上回り、海外日本食需要の接点は高水準を維持しています。

15万 16万 17万 18万+ 2019 2021 2023 2025 15.6万店 15.9万店 18.7万店 18.1万店

出所:農林水産省「海外における日本食レストランの概数」

市場定義と対象範囲

本レポートでは、海外における日本食需要を「日本から海外へ供給される農林水産物・食品輸出額」と「現地で日本食を提供する海外日本食レストラン数」の二つで捉えます。 寿司、ラーメン、和食惣菜、調味料、冷凍食品、米、緑茶、和牛、水産物などは、現地調達・現地生産も多いため、需要全体の単一市場金額は公的に未整備です。 そのため、輸出額をビジネス機会の一次指標、海外日本食レストラン数を需要浸透の補助指標として扱います。

日本の農林水産物・食品輸出額 前年比 コメント
2021 1兆2,382億円 +25.6% コロナ下でも小売・EC販路が下支えし、日本食関連食品の輸出が拡大。
2022 1兆4,148億円 +14.3% 外食回復と円安が追い風となり、海外日本食需要が輸出額に反映。
2023 1兆4,547億円 +2.9% 中国規制の影響で伸びは鈍化したが、全体では過去最高を維持。
2024 1兆5,071億円 +3.6% 規制影響を受けながらも、緑茶、米、畜産、水産の一部が下支え。
2025 1兆7,005億円 +12.8% 主要国でプラスとなり、13年連続で過去最高を更新。
優先市場と国別ビジネス機会

2025年の輸出額では、米国、香港、台湾、中国、韓国が上位市場です。 日本食市場の海外展開では、国別に「高単価プレミアム」「日常食浸透」「外食業務用」「EC・新小売」などの機会軸を分ける必要があります。

1

米国

2,762億円

緑茶、ぶり、調味料、冷凍食品に商機。寿司・ラーメンに加え、家庭内再現需要も拡大。

2

香港

2,228億円

日本産米、寿司食材、和風調味料の需要が強い成熟市場。鮮度・品質要求は高い。

3

台湾

1,812億円

日本食との親和性が高く、米、茶、惣菜、調味料の展開余地がある。

4

中国

1,799億円

規制・通関リスクに留意しつつ、菓子、飲料、非水産品、EC・新小売に機会。

5

韓国

1,094億円

日本食が定着しており、ビール、調味料、外食向け食材に強い需要。

優先市場 2025年輸出額 需要シグナル 有望カテゴリー 主な留意点
米国 2,762億円 日本食の裾野拡大、家庭内再現需要 緑茶、ぶり、調味料、即席・冷凍食品 関税、物流コスト、州別流通網
香港 2,228億円 日本産米の高い喫食意向 米、調味料、寿司食材、菓子 高競争、鮮度要求、価格競争
台湾 1,812億円 日本食への親和性が高い成熟市場 米、茶、調味料、惣菜、冷凍食品 差別化、ブランド認知、棚取り
中国 1,799億円 規制下でも一定の回復 菓子、飲料、非水産品、EC向け食品 規制、通関、ライブコマース対応
韓国 1,094億円 日本食定着、2025年過去最高 ビール、調味料、外食向け食材 競争激化、現地ブランドとの比較
主要プレーヤーと競合構造

海外の日本食市場は、食品メーカー、輸入商社・現地卸、外食チェーンの三層構造で形成されています。 ブランド力、品質保証、現地流通網、業務用対応力を持つ企業が優位です。

キッコーマン 醤油・和風調味料

キッコーマンは、醤油・和風調味料の世界標準ブランドとして海外展開を進めています。 醤油は日本食の基礎調味料であり、寿司、照り焼き、ラーメン、家庭料理まで用途が広いため、ブランド集中が起こりやすい領域です。

キッコーマン Soy Sauce Business

味の素グループ 食品・調味料・現地化

味の素は、食品事業を多地域で展開し、現地化・量販・業務用への適応力を持ちます。 日本食輸出ビジネスでは、単に日本仕様の商品を送るだけでなく、現地嗜好に合わせた味設計とチャネル設計が重要です。

味の素グループ ASV Report 2025

日清食品HD 即席麺・簡便食

日清食品ホールディングスは、CUP NOODLESを中心に即席麺のグローバル展開を進めています。 ラーメン人気の広がりと簡便食需要を背景に、海外日本食需要の中でも日常食化しやすいカテゴリーです。

日清食品ホールディングス 会社概要

F&LC・くら寿司等 海外外食チェーン

F&LCくら寿司などの外食チェーンは、海外で日本食体験の頻度を高める市場形成装置として機能します。 下流の外食体験が広がることで、上流の寿司食材、調味料、米、水産物需要も拡大します。

消費者トレンドと成長カテゴリー

消費者トレンドは、寿司・ラーメンの定番化から、日本食の裾野拡張へ移っています。 米国では、ホタテ、ハマチ、のり、柚子・すだち・かぼす、甘酒、納豆など、従来の主力以外の日本食材にも関心が広がっています。 日本食は「エスニック料理の一つ」から、高品質・健康的・本物感のある日常食へ変わりつつあります。

  • 緑茶・抹茶 2025年の緑茶輸出は大きく伸長。健康志向、カフェメニュー、スイーツ原料、家庭内消費の複数需要を取り込める高付加価値カテゴリーです。
  • 米・日本産米 香港・シンガポールなどで日本産米への喫食意向が高く、外食・小売・家庭内需要の両面で機会があります。
  • ぶり・水産物 寿司、刺身、冷凍加工品として高単価を狙える一方、規制、鮮度管理、温度帯物流が重要な制約になります。
  • 和牛・畜産品 プレミアム外食・高級小売向けに強い訴求力があります。供給量、価格、規制対応、現地料理への展開が課題です。
  • 発酵調味料・和風ソース 醤油、味噌、だし、照り焼きソースなどは、家庭内再現需要と非日系レストランでの採用余地があります。
  • 即席麺・冷凍惣菜 日本食を日常食化する入口商品。常温・冷凍・小容量・電子レンジ対応など、現地小売に合わせた商品設計が重要です。
流通チャネルと輸出拡大の論点

海外日本食需要を輸出ビジネスに変えるには、レストラン直販だけでは不十分です。 日系レストラン向けから、現地外食・主流小売・B2Bデジタル調達へ販路を広げられるかが成長の分岐点です。

日本食レストラン向け卸

寿司、ラーメン、居酒屋、和食店向けに、米、調味料、冷凍食材、水産品を供給する基礎チャネルです。品質と安定供給が最重要です。

主流スーパー・専門店

現地消費者の家庭内再現需要を取り込むチャネルです。容量、価格、パッケージ、調理方法のわかりやすさが棚取りの鍵になります。

EC・新小売・ライブコマース

中国や東南アジアでは、EC、生鮮EC、ライブコマースが食品流通の重要チャネルです。商品説明力と現地プロモーションが必要です。

B2B食材プラットフォーム

ベトナムのKAMEREOのように、飲食店向けの業務用ECが広がっています。小規模飲食店にも日本産食品を届けやすくなります。

非日系レストラン

和風ソース、味噌、柚子、だし、抹茶などは、現地料理やフュージョン料理にも採用可能です。日本食店以外への横展開が成長余地です。

外食チェーンとの協業

海外外食チェーンの限定メニュー、季節メニュー、共同開発を通じて、日本食材の認知と採用量を同時に伸ばせます。

価格動向:量の拡大よりも高付加価値化が重要

2025年の輸出では、緑茶、牛肉、米、ぶりなどが過去最高を記録しました。 これは、日本食輸出ビジネスの拡大が単なる安売りではなく、高付加価値品目を中心に進んでいることを示しています。

一方で、関税、物流費、為替、輸入規制、温度帯管理の影響は無視できません。 輸出ビジネスでは、現地値下げではなく、小容量化、常温化、ブランド訴求、業務用バルク最適化、賞味期限設計によって価格吸収力を高める必要があります。

参考: 農林水産省 2025年農林水産物・食品の輸出額

機会とリスク

海外の日本食需要は強い一方、伸びるのは「どこにでも売れる商品」ではなく、現地チャネルに適応した商品と、規制対応を先回りできるオペレーションを持つ事業者です。

観点 内容 輸出ビジネス上の示唆
強み 日本食は高品質・健康・発酵・本物感という複数の価値軸を持つ。 プレミアム価格を維持しやすく、ブランド化に向いている。
弱み 生鮮・冷凍・温度帯管理が必要な品目は商流構築コストが高い。 常温品、冷凍品、業務用規格など、供給設計を分ける必要がある。
機会 主流スーパー、業務用EC、非日系レストラン、インバウンド認知の輸出転換。 日系販路以外に拡張できる企業が成長しやすい。
リスク 関税、輸入規制、供給能力不足、現地模倣、価格競争。 単一国・単一品目依存を避け、複数市場・複数チャネルで設計する。
海外展開の実務フロー

輸出を「日本から送る」発想だけで捉えると、現地で売れにくくなります。 成功確度を高めるには、商品、流通、規制、販促を一体で設計する必要があります。

1

商品選定

緑茶、米、調味料、冷凍惣菜など国別需要に合わせて選定

2

規制確認

輸入規制、表示、検疫、関税、温度帯条件を事前確認

3

商流設計

輸出事業者、現地輸入者、卸、小売、B2B ECを設計

4

SKU最適化

容量、賞味期限、常温・冷凍、業務用・小売用を分ける

5

販促・定着

試食、外食メニュー化、SNS、現地ECで需要を育成

推奨アクション

短期では、輸出先を「日本食店が多い国」ではなく、現地の機会軸で再編することが重要です。 高単価プレミアム市場には抹茶、緑茶、和牛、ぶり、発酵調味料を、日常食浸透市場には即席麺、スープ、ソース、冷凍惣菜を重点化します。

短期:国別・品目別の重点化

Market Prioritization

米国、香港、台湾、中国、韓国を同じ戦略で扱わず、国別に有望カテゴリーとチャネルを分けます。 抹茶・緑茶・和牛・ぶりは高単価市場向け、即席麺・冷凍惣菜・和風ソースは日常食市場向けに設計します。

中期:現地化された販路基盤

Channel Development

主流小売への棚取り、B2B食材プラットフォーム活用、現地サポーター店の拡大、外食チェーンとのメニュー連携が重要です。 「輸出」ではなく「現地で売れる形への再編集」が競争力になります。

長期:ブランド協業と供給体制

Brand & Supply

供給制約のある抹茶、水産、畜産では、調達力と安定供給が事業成長の上限になります。 ブランド訴求、現地共同開発、複数国展開、規制対応体制を同時に整える必要があります。

日本食輸出ビジネスの商流モデル

海外展開の商流は、生産者・メーカーから現地消費者まで一方向ではなく、外食、小売、専門店、B2B ECを組み合わせる多層構造になります。

1

日本の生産者・メーカー

食品、調味料、米、緑茶、水産、畜産、冷凍品

2

輸出事業者・商社

通関、規制、混載、温度帯、輸出実務

3

現地輸入者・卸

在庫、配送、営業、現地規制対応

4

日本食レストラン

業務用需要、メニュー化、体験形成

5

主流スーパー・B2B EC

家庭内再現需要、非日系外食への拡張

6

一般消費者

日常食化、リピート購買、ブランド定着

 

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