日本のペット関連総市場
市場調査レポート
日本のペット・ペット用品市場について、総市場規模、ペットフード、ペット用品、生体・サービス、購買チャネル、主要プレーヤー、需要変化を俯瞰し、今後どのサブセグメントに優先投資すべきかを整理します。
2020〜2024年度の成長は、飼育頭数の大幅増ではなく、価格改定、高付加価値化、猫関連商材の拡大、健康管理需要の増加によって説明されます。2025〜2029年は緩やかな拡大が基本シナリオであり、公開予測と延長推計ベースでは年平均成長率約2.3%が目安です。
総市場は2兆円目前
2024年度の日本ペット関連総市場は1兆9,108億円です。2020年度の1兆6,842億円から拡大しており、2029年には2.1兆円規模に近づく参考シナリオです。
成長の中心は高付加価値化
ペットフードではプレミアム、療法食、ヒューマングレード、猫向け商品が伸びやすい領域です。単なる数量増ではなく、単価上昇と機能訴求が市場を押し上げています。
サービス市場も大きい
2024年度時点で生体・サービス分野は8,542億円となり、総市場の約44.7%を占めます。保険、医療、美容、ホテル、葬送などが重要な投資対象です。
2024年度までは公開値、2025年度以降は公開予測およびCAGR延長による参考値を含みます。数量成長よりも、価格改定・高機能化・継続購買化による市場拡大が中心です。
2024年度の構成比は、生体・サービス44.7%、ペットフード37.6%、ペット用品17.7%です。ペット関連市場は物販だけでなく、医療・保険・美容・葬送を含むサービス複合市場として見る必要があります。
主要指標市場規模は矢野経済研究所の公開値、犬猫飼育頭数は一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査を基礎に整理しています。
| 主要指標 | 2020 | 2024 | 2025F | 2029E | コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 総市場規模 | 16,842億円 | 19,108億円 | 19,257億円 | 21,099億円 | 2020〜2024 CAGR 3.2%、2025〜2029E CAGR 2.3% |
| ペットフード | 5,822億円 | 7,183億円 | 7,349億円 | 8,398億円 | 物販最大。プレミアム化と猫関連需要が牽引 |
| ペット用品 | 2,791億円 | 3,383億円 | 3,404億円 | 3,602億円 | 消耗品中心。成長率はフードより緩やか |
| 生体・サービス | 8,229億円 | 8,542億円 | 8,503億円 | 参考線のみ | 2024年度時点で全体最大構成要素 |
| 犬の推計飼育頭数 | 734.1万頭 | 679.6万頭 | 682.0万頭 | 未指定 | 数量面では弱い。犬向け市場は単価・サービス化が重要 |
| 猫の推計飼育頭数 | 862.8万頭 | 915.5万頭 | 884.7万頭 | 未指定 | 犬より母数が大きく、フード・用品の成長基盤 |
フード、用品、小売、EC、保険、医療を横断して、有力企業が異なるポジションを形成しています。単一カテゴリではなく、顧客接点と継続購買の設計が競争力を左右します。
| 主要プレーヤー | 主戦場 | 位置づけ |
|---|---|---|
| Mars, Incorporated | フード、療法食、グローバルペットケア | ペディグリー、カルカン/ウィスカス、ロイヤルカナン等を持つ総合大手。 |
| ネスレ日本 | フード、療法食 | ピュリナ ワン、モンプチ、フィリックスなど、犬猫向けブランドを幅広く展開。 |
| ユニ・チャーム | フード、トイレタリー、マナー用品 | 銀のスプーン、AllWell、デオシート、デオトイレ、マナーウェアなど、物販横断で強い。 |
| イオンペット | 小売、グルーミング、ホテル、病院 | 用品販売、病院、サービスを組み合わせる大手流通プレーヤー。 |
| ペットゴー | EC、ヘルスケア通販 | Eコマースを中心に、ペットヘルスケア領域へ展開する事業者。 |
| アニコム損害保険 | ペット保険 | 2025年3月末の保有契約128.8万件を有するペット保険分野の代表格。 |
売上ベースのチャネル別比率は公開ソース上で限定的なため、ここでは代替指標としてペットフード協会の購入チャネル利用率を用います。数値は複数回答であり、売上構成比ではありません。
| チャネル | 犬飼育者 利用率 | 猫飼育者 利用率 | 読み解き |
|---|---|---|---|
| ホームセンター・ディスカウントストア | 55.2% | 58.5% | オフライン最大チャネル。大容量品、消耗品、日常購買に強い。 |
| ネット通販 | 40.6% | 36.8% | 定期購買、療法食、重い消耗品、大容量SKUと相性が良い。 |
| ドラッグストア | 34.1% | 40.6% | 猫で強い。日用品との同時購入導線を作りやすい。 |
| ペットショップ | 31.2% | 16.2% | 犬で相対的に高い。相談、トリミング、サービス連携に向く。 |
| スーパー | 29.1% | 40.1% | 猫のデイリー購買導線として強い。価格帯設計が重要。 |
公開ソースに金額シェアが明示されていないカテゴリもあるため、下表では「未指定」として整理しています。市場解釈としては、必需消耗品を土台に、健康・高機能・プレミアム領域へ需要が移っています。
| 価格帯・製品カテゴリ | 公開定量 | 市場解釈 |
|---|---|---|
| 高価格帯フード | 金額シェア未指定 | プレミアム需要が継続拡大。犬猫の健康管理ニーズと親和性が高い。 |
| スーパープレミアム / ヒューマングレード | 金額シェア未指定 | EC起点で拡大。ただし市場全体ではまだ小さく、ブランド信頼が重要。 |
| 必需消耗品 | 金額シェア未指定 | ペットシーツ、猫砂、衛生用品が用品市場の土台。定期購入化しやすい。 |
| 健康 / 衛生用品 | 金額シェア未指定 | デンタル、オーラルケア、皮膚・被毛ケアなどに拡大余地。 |
| 耐久品 | 未指定 | 価格上昇局面では買い控えが起きやすく、消耗品より成長が不安定。 |
ペット関連総市場では、猫関連、健康管理、継続購買モデルが投資優先度の高い領域です。一方で、飼育頭数の伸び悩みと価格転嫁後の需要弾性には注意が必要です。
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機会1:猫関連需要 猫の飼育頭数は犬を上回り、フード・用品の双方で成長を支えています。猫砂、ウェットフード、室内飼育用品、健康管理商材は優先度の高い領域です。
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機会2:健康管理需要 プレミアムフード、療法食、デンタルケア、保険、医療相談、予防ケアを組み合わせることで、単品販売から継続的な顧客関係へ移行できます。
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機会3:継続購買モデル ペットシーツ、猫砂、療法食、サプリメントはEC定期便と相性が高く、LTV管理を行いやすい領域です。大容量SKUやまとめ買い導線も有効です。
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リスク:頭数停滞と競争激化 市場拡大は数量増に依存しにくく、価格改定後の需要弾性、PB商品との競争、広告費高騰が収益性を圧迫する可能性があります。
日本のペット関連総市場は、飼育頭数の拡大市場から、家族化・高付加価値化・健康管理・サービス化の市場へ移行しています。
2020〜2024年度:単価上昇と高付加価値化
総市場は1兆6,842億円から1兆9,108億円へ拡大。飼育頭数の大幅増ではなく、価格改定、プレミアムフード、猫関連商材の伸長が主因です。
2024年度:サービス市場が最大構成
生体・サービス分野は8,542億円で、全体の44.7%を占めます。物販だけでなく、医療、保険、美容、ホテル、葬送を含む複合市場としての重要性が高まっています。
2025〜2029年:緩やかな拡大局面
公開予測と延長推計ベースでは、年平均成長率約2.3%の緩やかな成長が基本シナリオです。高機能化と継続購買化が成長の焦点になります。
推奨アクション:猫・室内飼育・継続消耗品に軸足を置く
短期では、猫向けフード、猫砂、室内飼育用品、ペットシーツ、デンタル・衛生用品など、継続購買しやすい商材に注力すべきです。中期では、フード、用品、保険、医療相談を束ねた会員基盤を構築し、単品販売からLTV管理へ移行することが重要です。
流通面では、ホームセンター・ドラッグストア・スーパー向けの量販SKUと、EC向けの定期便・大容量SKUを分けて設計するのが望まれます。市場全体は緩やかな成長局面のため、廉価品競争よりも、安心、健康、共生価値を訴求する戦略の方が整合的です。
投資優先度は「市場規模」「継続購買性」「高付加価値化余地」「チャネル適合性」の四点で見ると整理しやすくなります。
猫向けフード・猫砂・室内飼育用品
猫の飼育母数が大きく、日常消耗品の購買頻度も高い領域です。EC定期便、ドラッグストア、スーパーとの相性も良好です。
プレミアムフード・療法食・健康訴求品
数量成長が限定的な市場では、単価向上と信頼形成が重要です。獣医師推奨、成分透明性、年齢別設計が差別化要素になります。
ペット保険・医療相談・予防ケア
家族化と長寿化を背景に、医療費不安への対応ニーズが拡大しています。物販との会員連携によりLTVを高めやすい分野です。
デンタル・オーラルケア用品
健康管理需要の中でも習慣化しやすい領域です。フード、サプリ、玩具、ケア用品を組み合わせたクロスセルが可能です。
グルーミング・ホテル・美容サービス
オフライン接点を持つ小売プレーヤーに有利です。店舗来訪を起点に、フード・用品・保険へ送客する設計が有効です。
耐久品・大型用品
買い替え周期が長く、物価上昇局面では買い控えが起きやすい領域です。単体投資よりも、消耗品・サービスとの併売設計が必要です。
主要出典・参考情報
矢野経済研究所|ペット関連総市場
ペットフード、ペット用品、生体・サービスを含む日本のペット関連市場規模の基礎データ。
矢野経済研究所|ペット市場関連調査
ペット市場の構造、成長要因、カテゴリ別動向を把握するための参考資料。
ペットフード協会|全国犬猫飼育実態調査
犬猫の推計飼育頭数、飼育実態、市場背景を確認するための主要資料。
ペットフード協会|購入チャネル関連資料
犬・猫飼育者の購入チャネル利用率を把握するための参考データ。
経済産業省|関連政策・市場情報
消費、流通、産業政策の観点からペット関連市場を読み解くための補助資料。
国立社会保障・人口問題研究所|世帯推計
単身世帯、家族構成、人口動態など、伴侶動物需要の背景を把握するための資料。
J-STAGE|伴侶動物と家族化に関する研究
ペットの家族化、共生意識、消費行動の質的変化を理解するための学術的参考資料。
