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不動産・不動産金融市場

物流施設・倉庫市場
需給転換と投資機会

EC市場の拡大、物流2024年問題、新物効法、輸送力不足への対応を背景に、物流施設・倉庫市場は 「床を増やす市場」から「立地・仕様・運営能力で選別される市場」へ移行しています。 本ページでは、物流施設市場の需給転換、主要プレーヤー、政策動向、投資機会を整理します。

26.1兆円
2024年 BtoC-EC市場規模
514.4兆円
2024年 BtoB-EC市場規模
9.8%
首都圏LMT空室率
20.2%
国内REITに占める物流施設比率
エグゼクティブサマリー

物流施設市場は、EC拡大だけでは説明できない構造変化の局面に入っています。国内BtoC-EC市場は2024年に 26兆1,225億円、BtoB-ECは514兆4,069億円まで拡大し、在庫配置・配送ネットワークの再編需要は継続しています。 一方で、首都圏の大型マルチテナント型物流施設は空室率がなお高く、供給消化の途中にあります。 ただし、2027年以降の供給減少、物流効率化政策、輸送力不足への対応を踏まえると、 市場は単純な供給過多ではなく、高機能・好立地・運用一体型施設が評価される選別市場へ移行しているといえます。

主要指標でみる物流施設市場

資本市場では、物流施設は国内リートにおける中核セクターになっています。賃貸市場では首都圏の空室率は高めながら改善方向にあり、 近畿圏では需給の引き締まりが目立ちます。

指標 最新値 含意
国内リート全体資産規模 31.3兆円 流動的な不動産資本市場が成熟
物流施設資産規模 6.3389兆円 国内リートの20.2%を占める主要用途
2024年BtoC-EC市場規模 26.1225兆円 消費物流の底堅い成長
2024年BtoB-EC市場規模 514.4069兆円 企業間物流・在庫管理高度化を促進
首都圏LMT空室率 9.8% なお高めだが、改善方向
首都圏LMT実質賃料 4,490円/坪 横ばいから上昇局面への移行を示唆
近畿圏LMT空室率 4.2% 需給はかなり引き締まっている
2030年度輸送力不足見通し 平均7%〜最大25% 物流施設・物流DX・共同配送の政策需要が継続
需給転換のポイント

首都圏では2025〜2026年に供給圧力が残る一方、2027年に供給量が大きく減少する見通しです。 このため、短期的には空室消化、中期的には高規格施設を中心とした再引き締まりが基本シナリオになります。

1. 供給ピーク後の改善局面

首都圏の予想供給量は2025年154万㎡、2026年172万㎡と高水準ですが、2027年には45万㎡まで大きく減少する見通しです。

供給過多懸念だけでなく、供給ピーク後の需給改善を先読みする局面に入っています。

2. 近畿圏の需給引き締まり

近畿圏のLMT空室率は4.2%と低く、新規需要も過去5年平均を上回っています。

首都圏よりも需給が引き締まっており、安定稼働を重視する投資対象として注目されます。

3. 物流政策による高機能化需要

新物効法により、荷待ち短縮、積載効率向上、配車最適化、共同配送が重要テーマになっています。

単なる倉庫ではなく、物流改善に資する施設・設備・運用機能が評価されやすくなります。

物流施設需要が生まれる構造

EC拡大、在庫再配置、2024年問題、新物効法が連動し、高機能物流施設への需要を押し上げています。

1

EC市場拡大

BtoC・BtoB双方で物流ネットワークの再編が進む

2

輸送力不足

2030年度に平均7%〜最大25%の不足リスク

3

物流政策改革

新物効法により荷主・物流事業者の効率化が促進

4

高機能施設需要

自動化、予約受付、共同配送、冷凍冷蔵対応が重要に

5

賃料・稼働差

好立地・高仕様物件に賃料プレミアムが集中

主要プレーヤー

上場物流REITでは、日本プロロジスリート投資法人、GLP投資法人、三菱地所物流リート投資法人が中核プレーヤーです。 大型マルチテナント施設、BTS、都市近接型、冷凍冷蔵、DX対応が競争軸になっています。

プレーヤー 最新公表値 特徴
日本プロロジスリート投資法人 9,619億円、60物件、稼働率98.6% Aクラス物流施設への重点投資
GLP投資法人 8,715億円、86物件、稼働率97.7% 大規模ポートフォリオ、マルチテナント比重が高い
三菱地所物流リート投資法人 2,777億円、35物件 首都圏・近畿圏中心のポートフォリオ
市場全体の商品潮流 マルチテナント、BTS、都市近接型、冷凍冷蔵、DX対応 単純な床供給より機能性重視へ
投資・事業機会

物流施設市場の投資機会は、コア物件の安定保有だけでなく、設備更新、用途転換、物流DX、共同配送支援まで広がっています。

供給ピーク後の取得・再リーシング

2025〜2026年の供給消化局面で、将来の需給改善を見込めるサブマーケットを選別取得する戦略です。

自動化・冷凍冷蔵対応のバリューアッド

自動倉庫、冷凍冷蔵、電力容量、太陽光、省エネ設備を追加し、施設の競争力を高める投資機会があります。

物流DX・共同配送サービス

予約受付、配車最適化、データ可視化、共同配送支援など、施設運営とソフトウェアを組み合わせた事業機会です。

古い倉庫・工場の再開発

準工業地、既存倉庫、老朽化工場を、現代的な物流ニーズに合う施設へ転換する余地があります。

メザニン・私募ファンド・開発型投資

金利上昇と建築費高騰の中でも、設備更新や再開発を織り込める金融スキームには投資余地があります。

高交通利便エリアへの集中

幹線道路、IC、港湾、都市消費地へのアクセス性が高い物件ほど、稼働率と賃料の面で優位になりやすい構造です。

今後3〜5年の市場見通し

2026年までは、首都圏を中心に局地的な空室消化が続くとみられます。一方で、2027年以降は供給量の減少が見込まれ、 高規格物件を中心に需給が再び引き締まる可能性があります。

ただし、今後の相場は市場全体が一律に上昇するものではありません。交通結節性、広域配送適性、自動化余地、環境性能、 冷凍冷蔵対応、運用DXへの対応力を備えた物件が、稼働率と賃料で先行する二極化相場になると考えられます。

物流施設市場はなお成長市場ですが、勝敗を分けるのは「物流施設であること」ではなく、 どこに、どの仕様で、どの物流改善を実現できるかです。

 

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