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スマート農業・農業用ドローン市場

農業用ドローン市場
市場調査レポート

農業用ドローンは、スマート農業の中でも導入効果が見えやすい領域です。 農薬・肥料散布、播種、リモートセンシング、作付確認、広域モニタリングまで用途が広がり、 日本では販売台数よりも散布面積・登録農薬数・対応作物の拡大が市場把握の重要指標になっています。

26.3億ドル
世界市場規模
2025年予測
107.6億ドル
世界市場規模
2030年予測
32.6%
グローバル市場
CAGR予測
119.6万ha
日本の農薬等散布面積
2024年度
3,359台
日本の散布用ドローン販売台数
2024年度
1,461
ドローン散布に適した登録農薬数
2024年度

Executive Summary

農業用ドローン市場は、スマート農業分野の中でも拡張速度が高い領域の一つです。 主要調査では、グローバル市場は2025年26.3億米ドル、2030年107.6億米ドル、年平均成長率32.6%とされ、 北米が最も高い成長率を示す見通しです。

日本では、公開サマリー上のセグメント別売上高は限定的ですが、普及指標は明瞭です。 2024年度の農薬等散布面積は119.6万ha、散布用ドローン販売台数は3,359台、 ドローン散布に適した登録農薬数は1,461に達しました。 したがって、日本市場では金額成長だけでなく、実際の作業面積、適用作物、登録農薬の広がりを主軸に市場を把握する必要があります。

市場定義と対象範囲

本ページでいう農業用ドローン市場は、散布・播種・施肥・リモートセンシング・圃場監視・画像解析・飛行計画ソフト・保守サービス・受託散布サービスを含みます。 インフラ点検や測量などの非農業用途ドローン市場は対象外です。

農薬・肥料散布

日本で最も成熟している用途です。高濃度・少量散布に対応した機体、登録農薬、作物別散布条件の整備が市場拡大の前提になります。

播種・直播

水稲の湛水直播などで利用が進んでいます。作業時間削減、作期分散、委託作業拡大の手段として注目されています。

リモートセンシング

マルチスペクトル画像などを活用し、生育診断、病害虫確認、可変施肥、営農判断へつなげる用途です。

圃場監視・作付確認

広域圃場の撮影、行政確認、農地管理に活用されます。レベル3飛行により、補助者なしでの広域確認にも可能性があります。

受託散布・保守サービス

機体を購入しない農家でも利用できるサービスモデルです。販売台数が安定する一方で散布面積が伸びる日本市場では、受託型の重要性が高まっています。

最新の市場規模と予測

世界市場では高成長が見込まれています。一方、日本では売上高よりも販売台数、散布面積、登録農薬数といった普及指標から市場の実態を読む必要があります。

指標 日本 グローバル 地域別示唆
最新の公開規模 未指定。公開サマリーではセグメント別売上高の明示は限定的。 2025年 26.3億米ドル。 北米が予測期間における最速成長地域とされる。
予測規模 未指定。 2030年 107.6億米ドル。 North America / Europe / Asia Pacific / South America / Rest of Worldで分析。
年次普及指標 2024年度:販売3,359台、散布面積119.6万ha、登録農薬1,461。 CAGR 32.6%。 日本は売上高よりも普及指標の可視性が高い。

日本市場の読み方

散布用ドローン販売台数は2020年度6,314台をピークに、2021年度3,848台、2022年度3,217台、2023年度3,295台、2024年度3,359台と、 近年は3,000〜4,000台前後で安定しています。

一方、散布面積は2022年度82.4万ha、2023年度109.7万ha、2024年度119.6万haへ拡大しました。 登録農薬数も2018年度646から2024年度1,461へ増加しています。 つまり、日本市場は新規機体の急拡大期から、用途深耕・対応作物拡大型へ移行しています。

主要技術・ソリューション

農業用ドローンは、単体機器としてではなく、センシング、散布計画、飛行ログ、営農管理、可変施肥と連動することで価値が高まります。

主要プレイヤー

農業用ドローン市場では、機体メーカー、ドローンサービス会社、画像解析・農業DX企業が競争しています。

主要プレイヤー 事業概要 競争上の含意
DJI AgrasシリーズとSmartFarm系ソフトを軸に、散布・播種・マッピングを一体化。 ハードと運用ソフトを束ねた総合力が強い。
XAG AI活用の無人機、地上ロボット、デジタル農業基盤を展開。 水稲・大規模圃場で統合運用を志向。
Terra Drone 日本発の産業用ドローン事業者として、海外実証や高精度測位散布を推進。 国内外でサービスモデルを拡張しやすい。
OPTiM 固定翼、画像解析、遠隔確認など、農業DX寄りのドローン活用を推進。 単純散布よりも確認・診断・自治体連携に強み。
国内外の導入事例

農業用ドローンは、散布だけでなく、播種、広域確認、入力資材削減、収量改善にも活用されています。

水稲湛水直播 ─ 作業時間80%削減

国内事例では、直播機で10分/10aだった播種作業が、ドローンで2分/10aへ短縮されました。収量も約520kg/10aと、直播機を用いた直播栽培と同程度を確保しています。

佐賀県 ─ レベル3飛行による確認作業削減

補助者なし飛行により、圃場確認作業時間が118時間から5時間へと約96%削減。飛行1回で225haを約30分で撮影した事例です。

トルコ ─ DJI Agras T40導入

トウモロコシ栽培でDJI Agras T40を導入し、収量が20%向上した事例が紹介されています。

ブラジル ─ 精密スポット散布

精密スポット散布により、除草剤使用量を最大35%削減できたとされています。海外市場では入力資材最適化が重要な価値提案になっています。

農業用ドローン導入プロセス

導入時は、機体スペックではなく、対象作物、登録農薬、散布条件、運用体制、保守網を先に確認することが重要です。

1

対象作物を確認

水稲、野菜、果樹、豆類、いも類など用途を整理

2

登録農薬を確認

ドローン散布に適した農薬と散布条件を確認

3

導入形態を選定

自前購入、共同利用、受託散布を比較

4

運航体制を整備

安全教育、飛行ルール、保険、保守体制を準備

5

データ活用へ展開

散布ログ、画像解析、可変施肥、営農管理へ接続

課題と機会

市場拡大の制約は、農薬登録、安全運航、運用コスト、供給網にあります。一方で、作物横展開とサービス化が成長機会になります。

課題1:登録農薬の適合性

ドローン散布では高濃度・少量散布に適した農薬登録が必要です。適用品目が広がっても、登録範囲が経済性を左右します。

課題2:安全運航と教育

農地周辺の住宅、道路、電線、風況を踏まえた安全運航が必要です。操縦者教育と運用ルールの整備が市場拡大の条件です。

課題3:運用コスト

バッテリー、補修、部品交換、メンテナンス、予備機確保などの費用を含めて評価する必要があります。

機会1:作物横展開

登録農薬の品目別内訳では、野菜類等が2018年度48から2024年度450へ急増。水稲防除専用から多作物対応へ広がっています。

機会2:サービス化

受託散布、画像解析、作付確認を組み合わせることで、小規模農家でもドローン活用に参加しやすくなります。

政策・規制の影響

政策面では、農林水産省が農業用ドローンの普及計画と官民協議会を設け、普及拡大を進めています。 制度面では、航空法上の登録制度が2022年6月に開始され、2025年4月末までに45万機超の無人航空機が登録されました。

農業分野では、レベル3飛行、空中散布ルール、登録農薬の拡充、自動走行農機や営農データとの連携ガイドラインが市場形成の基本条件です。 規制は制約である一方、認証、教育、保険、メンテナンスを含む周辺サービス市場を育てる装置でもあります。

推奨アクション

農業用ドローンの導入・投資判断では、機体価格だけでなく、登録適合性、運用体制、保守網、データ活用まで含めて評価する必要があります。

 

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