" メタバース

世界各国のリアルタイムなデータ・インテリジェンスで皆様をお手伝い

EV / 乗用車市場調査

世界・日本のEV(乗用車)市場
市場調査レポート

世界のEV(乗用車)市場は、BEVとPHEVを中心に急拡大しています。中国が規模と価格競争を牽引し、欧州は規制主導、米国は政策とインフラの変動要因が大きく、日本はHEV優位のなかでBEV普及が緩やかに進む構図です。本ページでは、世界・日本の販売実績、成長要因、競争構造、今後の見通しを整理してご紹介します。

1,750万台
2024年 世界のEV販売台数
22%
2024年 世界の販売シェア
48%
中国の2024年販売シェア
1.6%
2025年 日本のEV構成比
エグゼクティブサマリー

世界の電動乗用車市場は、2021年の約660万台から2024年の約1,750万台へ拡大し、販売シェアも9.3%から22%へ上昇しました。主要市場は中国で、2024年の電動車販売シェアは約48%です。欧州は約22%、米国は約10%で続きます。一方、日本は2025年のEV登録台数が39,885台、構成比は約1.6%にとどまり、世界主要市場と比べると立ち上がりは緩やかです。2025年の世界販売は2,000万台超が見込まれており、2026年以降は政策変更、価格競争、電池調達、充電インフラ整備が成長率の振れ幅を左右します。

世界市場は“量の局面”へ

世界のEV乗用車市場は、BEVとPHEVを合わせて2021年から2024年まで高成長を継続しています。IEAベースでは2021年から2024年のCAGRは約38%で、普及が実証段階から本格量産段階へ移ったと整理できます。

2024年時点の保有台数は約5,800万台に達しており、新車販売だけでなくストックベースでも存在感が大きくなっています。

地域ごとに勝ち筋が異なる

中国は価格競争と供給規模、欧州は規制とモデル多様化、米国は政策支援とSUV中心の需要、日本はHEV優位と充電環境制約というように、同じEV市場でも前提条件が大きく異なります。

そのため、参入や投資判断では世界を単一市場として扱うのではなく、地域別に戦略を分ける必要があります。

日本は“保有環境”が鍵

日本ではEV販売の伸びを評価する際、販売台数だけでなく保有ストック、集合住宅を含む充電環境、補助制度の理解、法人フリート需要の形成をあわせて見る必要があります。

車両単体の販売戦略よりも、充電や運用サービスを組み込んだTCO設計の方が実務上は重要です。

市場の定義と対象範囲

本ページでは、原則として国際エネルギー機関(IEA)の定義に合わせ、乗用車のBEV(バッテリーEV)PHEV(プラグインハイブリッド)を合算してEV市場として扱っています。日本の登録統計では、軽自動車を含むか否か、保有台数か新車登録かで母集団が異なるため、世界値との直接比較では定義差に注意が必要です。

実務上の見方:EVは「車両」だけでなく「電池・充電・運用」を含む市場

EV市場は車両販売台数だけを見ると実態を取り違えやすい領域です。特に2025年以降は、価格競争だけでなく、電池調達、充電インフラ、保有コスト、残価、稼働率設計が競争力を左右します。

そのため実務では、車両単体ではなく「車両+電池+充電+サービス」の一体市場として把握するのが有効です。世界市場では中国がこの統合設計で先行しており、日本市場では法人・フリート領域での適用余地が大きいと考えられます。

世界・日本のEV市場規模と実績

世界の電動乗用車販売は、2021年660万台、2022年1,020万台、2023年1,370万台、2024年1,750万台へ拡大しました。販売シェアも2021年9.3%から2024年22%まで上昇しています。日本では、登録乗用車ベースのEV(BEV)登録が2021年21,139台、2022年31,592台、2023年43,991台、2024年34,057台、2025年39,885台で推移しています。

項目 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年 2030年
世界EV販売台数(BEV+PHEV) 660万台 1,020万台 1,370万台 1,750万台 2,000万台超見込み 4,000万台(IEA STEPS参照点)
世界EV販売シェア 9.3% 15% 18% 22% 上昇継続見込み 参照シナリオベース
日本EV登録台数(BEV、登録乗用車) 21,139台 31,592台 43,991台 34,057台 39,885台 未指定
日本EV構成比(2025年) - 約1.6% 未指定
日本EV保有台数(全車種合計、各年3月末) 125,855台 - - - 221,889台 未指定
2024年の地域別構成と市場構造

2024年の世界の電動乗用車販売は、中国が約65%を占め、欧州18%、米国9%、その他9%という構成です。地域差はそのまま競争要因の差でもあり、中国は価格競争力と供給力、欧州は環境規制、米国は政策と消費者セグメント、日本はHEVとの競合と充電環境の制約が目立ちます。

成長要因と普及を押し上げるドライバー

2021年以降のEV市場拡大を支えた要因は、政策支援、電池コスト低下、モデルラインアップ拡充、価格競争の進展です。特に2024年から2025年にかけては、中国市場の価格競争が世界市場の販売拡大に強く影響しています。

政策と規制

各国の補助金、排出規制、電動化目標が需要と供給の両面を支えてきました。日本でも2035年までに乗用車新車販売で電動車100%という方針が掲げられています。

電池価格の低下

EV普及の中核は車両価格の低下であり、その中心にあるのが電池価格です。2023年以降の価格低下局面は、2024年から2025年の販売拡大に直接効いています。

モデル拡充と用途拡大

小型車、SUV、商用寄り用途までモデルが広がったことで、従来の“先進層向け商品”から一般市場向け商品へと移行しています。

課題とボラティリティ要因

EV市場は成長市場である一方、ボラティリティも大きい分野です。特に電池サプライチェーンの集中、重要鉱物調達、補助金縮小、関税・通商政策、充電インフラの整備速度が変動要因になります。

供給網の集中リスク

IEAは、電池供給網と重要鉱物処理能力が高い地域集中を伴っている点を繰り返し指摘しています。特に中国依存度の高さは、コストと供給安定性の両面で重要な論点です。

補助金・政策設計の変更

欧州では補助金縮小が成長率鈍化に影響したとされ、政策支援の設計変更は短期需要に強く効きます。米国でも税制や関税政策が市場心理を左右しやすい構造です。

日本市場の構造的制約

集合住宅での充電、補助制度の理解不足、保有期間の長さ、HEVとの比較優位の問題が、日本のBEV普及を緩やかにしている要因として整理できます。

価格競争と採算性の両立

販売拡大の一方で、OEMは値下げ競争と利益率維持の両立が課題です。特にグローバル展開する企業ほど、地域ごとの価格戦略と関税対応を同時に考える必要があります。

主要プレーヤー比較

主要OEMは同じEV市場で競っていても、戦い方はかなり異なります。BEV専業のスケール戦略、電池内製を軸にした垂直統合、地域別に需要を最適化するマルチブランド戦略など、競争優位の源泉は一様ではありません。

企業 直近公表の規模指標 強み 留意点
Tesla 2024年に約177.3万台生産、約178.9万台納車 BEV専業でスケールを確立し、ソフトウェアと充電ネットワークを含むエコシステムで需要を作る戦略が強みです。 価格改定の影響が大きく、地域ごとの規制・関税・充電網拡張負担が収益性を左右します。
BYD 2024年の車両販売4.27百万台 電池・車両の内製化による垂直統合で、強いコスト競争力を持ちます。海外売上拡大も進めています。 海外市場では関税や規制変更の影響を受けやすく、国・地域ごとの政策リスクが大きい点に注意が必要です。
Volkswagen Group 2024年、西欧向けに全電動モデル43.7万台納車 規制対応力とモデル多様化、地域別戦略の組み立てに強みがあります。 中国・北米で競争が激化する中、EV投資の優先順位と採算性のバランスが課題になります。
2026–2030年の見通し

IEAは2025年の世界電動乗用車販売が2,000万台超となる見通しを示しており、STEPSの参照点では2030年に4,000万台、保有台数は2.32億台が示されています。ただし、2026年から2027年の年次値は一次情報だけでは一意に定まらないため、実務ではシナリオレンジで管理するのが適切です。

今後の実務ポイント:2026–2027年は“直線予測”よりシナリオ管理

2025年から2030年に向けて市場が拡大する方向性は比較的明確ですが、その途中経路は政策変更、景気、原材料価格、関税、地域別の価格競争で大きくぶれます。

したがって、2026年以降の計画では単一の販売予測を置くよりも、「基準ケース」「下振れケース」「上振れケース」の複線で損益分岐を把握し、調達・価格・販路を連動させる設計が有効です。

推奨アクション

EV市場に関する投資判断や事業設計では、世界市場を一つの競争軸で捉えず、地域別に設計する必要があります。加えて、日本では販売台数の拡大だけでなく、充電と運用を含めた保有条件の整備が普及の前提になります。

実務での整理軸

国×セグメント×価格帯×充電行動で市場を分け、中国型・欧州型・米国型・日本型を別市場として扱うことが有効です。日本では、車両販売だけでなく、充電・サービス・法人フリート運用を含めたTCO最適化で勝ち筋を設計するのが合理的です。

 

ページTOPに戻る