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炭素除去・回収・貯留

CO₂輸送・貯留(T&S)インフラ市場調査
ハブ/クラスター・船舶輸送・越境対応

CO₂輸送・貯留(T&S)は、CCS/CCUSの実装を左右する基盤インフラです。ハブ/クラスターCO₂船輸送越境貯留を軸に、市場規模主要プレーヤー制度設計コスト構造を整理した市場調査ページです。

64Mtpa
2025年7月時点の稼働回収能力
$1.60B
2025年 T&S年間サービス市場推計
320Mtpa
2030年稼働量ベースケース仮定
$8.00B
2030年 T&S年間市場推計
CO₂輸送・貯留(T&S)インフラ市場の見どころ

本ページでは、T&Sを「稼働回収能力(Mtpa)×T&S単価(USD/t)」で捉え、公開されやすい能力データサイト依存のコスト構造を組み合わせて市場を把握します。グローバルの稼働回収能力は、Global CCS Institute の 2025 年資料で 64Mtpa と整理されています。

ハブ/クラスター型インフラの市場形成

回収源を束ねる共用T&Sが、初期CCS市場の成立条件になっています。単独案件よりも、複数排出源を接続するハブ/クラスターのほうが稼働率を上げやすく、規模の経済が効きやすい構造です。

欧州では Northern Lights が象徴的で、産業向けに開かれた T&S モデルとして注目されています。

CO₂船輸送の立ち上がり

CO₂船輸送は、長距離小〜中規模変動負荷の案件で相対優位を持ちやすいと整理されます。初期段階では、パイプラインに先行して船舶・港湾・中継基地が重要になります。

IEAGHGGlobal CCS Institute は、船舶輸送を今後の有力な接続手段として整理しています。

越境輸送・海底下貯留の法務論点

CO₂の越境輸送と海底下貯留では、ロンドン議定書、二国間取決め、責任分担、IMO 実務などの整理が不可欠です。技術だけでなく、法制度の接続性が案件化速度を左右します。

DOE/NETL の日米CO₂船輸送フィージビリティ でも、この点が重要論点として扱われています。

市場規模は「能力×単価」で捉える

T&S の料金は個別契約が多く、公開情報が限られます。そのため本レポートでは、稼働回収能力 × 平均T&S単価 により年間サービス市場を推計しています。

ベースケースでは 25USD/tCO₂ を前提に置き、2025 年の市場を 1.60 billion USD/年、2030 年を 8.00 billion USD/年 と整理しています。

市場規模と成長見通し

T&S 市場は、CO₂回収案件の増加に連動して拡大します。2021 年は 36.6Mtpa、2022 年は 42.5Mtpa、2024 年は 51Mtpa、2025 年 7 月時点では 64Mtpa まで拡大しています。2030 年については、公開図表のスケール感をもとに 320Mtpa を事業計算用のベースケース仮定として置いています。

2021

稼働 36.6Mtpa / 市場 0.92bn USD

稼働 27 施設・回収能力 36.6Mtpa。まだ限られた案件構成ながら、T&S を独立したインフラ市場として見る起点となる水準です。

2025

稼働 64Mtpa / 市場 1.60bn USD

Global CCS Institute の 2025 年資料ベース。案件パイプラインの厚みが増し、T&S は回収設備の付帯ではなく、独立した共用インフラへ移行しつつあります。

2030

稼働 320Mtpa / 市場 8.00bn USD

予測統計ではなく、公開図表のスケール感をもとに置いたベースケース仮定です。料金前提が変われば市場金額も比例して変動します。

この市場で本当に効くのは「回収量」よりも「接続性」と「制度設計」です

T&S は、単に貯留層があるだけでは成立しません。排出源をどう束ねるかどの輸送モードを使うか許認可と長期責任をどう処理するか が、最終的な投資回収を左右します。したがって、案件評価では CAPEX だけでなく、接続率・稼働率・規制の安定性を見る必要があります。

特に初期市場では、パイプライン単独よりも、港湾+液化+船舶+集約基地+貯留 を組み合わせた柔軟なモデルが有効です。需要密度が十分に高くなるまでは、船舶輸送がパイプラインの前段インフラとして機能しやすい構図です。

日本でも、CCS 法制度資料 や先進的 CCS 事業の採択を通じ、共用型インフラの制度設計が具体化しつつあります。

市場規模推計(稼働回収能力 × 25USD/tCO₂)

以下は、ユーザー提示前提に基づく T&S 年間サービス市場の整理です。2026 年以降は 2030 年 320Mtpa に向けた指数成長を置いた推計値です。

稼働回収能力(Mtpa) T&S市場(USD bn/年, 推計) メモ
2021 36.6 0.92 GCCSI 2021 ベース
2022 42.5 1.06 GCCSI 2022 ベース
2023 50.0 1.25 IEA の >50Mt 級記述を参照した概算
2024 51.0 1.28 GSR 2024 ベース
2025 64.0 1.60 GSR 2025 ベース
2026 88.3 2.21 2030=320Mtpa を置いた推計
2027 121.8 3.05 同上
2028 168.1 4.20 同上
2029 231.9 5.80 同上
2030 320.0 8.00 ベースケース仮定

コスト構造の主戦場は「輸送」より「貯留サイト条件」にあります

輸送は規模の経済が効きやすく、流量が上がるほど単価は下がりやすい一方で、貯留コストはサイト条件への依存が強いのが特徴です。オンショアでは 2–15USD/tCO₂、条件が不利でも概ね 56USD/tCO₂ 未満という整理がある一方、オフショアでは条件次第で大きく上振れし得ます。

したがって、T&S 事業者の競争優位は、単なる輸送機材の保有よりも、低コストで許認可を通しやすい貯留サイトを押さえられるか に左右されます。詳細は Global CCS Institute の貯留コスト資料 が参考になります。

また、EU の Net-Zero Industry Act のように、注入能力自体を政策ターゲットにする制度は、T&S インフラの収益回収可能性を高める方向に働きます。

主要プレーヤーと案件形成の方向性

T&S は装置市場というより、地質・港湾・制度・顧客接続 を束ねる事業です。各社とも、単独設備ではなくハブ型のポジション確保を志向しています。

輸送・貯留の論点比較

T&S の事業設計では、パイプライン、船舶、オンショア貯留、オフショア貯留を一体で比較する必要があります。

区分 向く条件 強み 主な制約
パイプライン輸送 大流量・長期安定運転・固定ルート 流量増で単価低下。大規模案件に強い 初期CAPEXが大きく、ルート許認可が重い
CO₂船輸送 長距離・中小規模・需要変動・越境案件 柔軟性が高く、初期市場に適合しやすい 液化・港湾・荷役設備が必要。標準化途上
オンショア貯留 適地があり、地上設備アクセスが良い場合 比較的低コストになりやすい 社会受容、地上権、制度整備が課題
オフショア貯留 海洋近接クラスター・既存海洋知見がある場合 大規模化しやすく、越境モデルとも相性が良い 井戸・水深・監視でコスト上振れリスク

CO₂輸送・貯留(T&S)インフラ 関連リソース

Global CCS Institute ─ GSR 2025

稼働回収能力 64Mtpa、全体パイプライン 513Mtpa など、足元の CCS 市場スナップショットを把握する基礎資料です。

Global CCS Institute ─ Cost of CO₂ Storage

オンショア/オフショア別の貯留コストレンジ、コスト上振れ要因、サイト条件の重要性を整理した資料です。

Global CCS Institute ─ CO₂ Shipping

CO₂船輸送の用途、機会、スケールアップ課題、ハブ接続での役割を把握するのに有用です。

IEAGHG ─ CO₂ Shipping Infrastructures

液化条件、輸送モード比較、実装上の課題を技術面から確認できる資料です。

経済産業省 ─ CCS法制度資料

認可、モニタリング、責任移管、拠出金、料金届出義務など、日本の T&S 制度設計の要点が整理されています。

経済産業省 ─ 排出量取引制度(GX-ETS)

2026 年 4 月開始に向けた制度情報。T&S の需要側インセンティブを考える際の関連制度です。

UK Government ─ CCUS Clusters

英国の CCUS クラスター支援の枠組みと長期支援コミットメントを確認できます。

DOE/NETL ─ 日米CO₂船輸送フィージビリティ

越境輸送、国際法整合、日米間の船舶輸送に関する実務・制度論点を確認できる資料です。

投資機会と推奨アクション

T&S は、成熟した量産市場というより、制度形成と接続戦略で先行者利益を取る市場です。案件の成否は、技術単体よりもインフラ設計とアンカー顧客確保にかかっています。

 

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