" メタバース

世界各国のリアルタイムなデータ・インテリジェンスで皆様をお手伝い

次世代蓄電池・EV電池市場

固体電池の市場規模と成長予測
市場調査レポート

全固体電池を含む固体電池は、2026年時点ではまだパイロット〜初期商用段階にありますが、EV向け電池需要のTWh級拡大を背景に、2030年前後の立ち上がりが注目されています。本ページでは、市場規模成長予測、用途別の採用シナリオ、価格条件、主要プレーヤーの動向を整理し、事業計画や投資判断に使いやすい形でまとめています。

3TWh超
2030年のEV用電池需要見通し
108$/kWh
2025年Li-ion平均パック価格
15〜150GWh
2030年EV向け固体電池出荷想定レンジ
1.8〜22.5B$
2030年EV向け市場規模の条件付き推計
市場の見立てと成長ドライバー

固体電池の市場規模は、単純な技術期待だけでは決まりません。量産歩留まり、コスト、界面寿命などの供給側条件と、航続距離・急速充電・安全性などの需要側プレミアムが、成長予測の前提を大きく左右します。特に2030年の市場形成は、「EV用電池需要という巨大な分母」に対して、固体電池がどの程度の採用率を獲得できるかが核心です。

EV需要の拡大が最大の分母

IEAでは、EV向け電池需要が2024年の約1TWhから2030年に3TWh超へ拡大すると見込まれています。固体電池の採用率が数%にとどまっても、GWh〜数十GWh規模の市場が成立する余地があります。

市場の初期立ち上がりは、量販車よりもまず、性能差を価格で説明しやすいプレミアムEVや高機能車種から進む構図が想定されます。

Li-ion価格低下が競争条件を厳しくする

Li-ion電池の価格は急速に低下しており、2025年平均は108$/kWh、中国では84$/kWhとされます。これにより、固体電池は単なる新技術ではなく、性能プレミアムを経済合理性として示す必要があります。

したがって、固体電池の市場拡大には、高エネルギー密度、急速充電、熱安全性などがTCOや商品価値にどう転換されるかが重要です。

供給計画は先行、収益化は量産成否次第

BloombergNEFでは、中国だけでも固体電池セル製造能力として700GWh規模の発表済み・建設中・稼働案件が整理されています。供給側の期待は大きい一方、実需化は別問題です。

品質、歩留まり、乾燥工程、標準化、信頼性の検証が想定より遅れれば、能力計画と実際の売上化には大きなギャップが生じます。

定置用途はEVより遅れて立ち上がる公算

系統用BESSではLFP中心の価格低下が進み、純粋な$/kWh競争では固体電池は不利になりやすい構造です。そのため、定置向けの本格採用はEVより遅行する可能性が高いとみられます。

ただし、高温環境、屋内設置、人口密集地など、安全規制や設置制約が厳しい案件では採用余地があります。

初期市場は“高付加価値用途”が主戦場

2026年時点の固体電池は、万能型の大量普及技術というより、まずは価格プレミアムを吸収しやすい高級EV、高安全要求の蓄電、極端温度環境などで浸透していく構図が自然です。

市場規模の予測では、採用率の前提を楽観しすぎず、用途別・地域別に分けて見ることが実務上重要です。

2030年市場規模シナリオ

以下は、2030年のEV用電池需要を3,000GWhと置き、固体電池の採用率と価格レンジを掛け合わせた条件付き推計です。あくまで感度分析用の算術モデルですが、市場規模成長予測を整理するうえで実務的に使いやすいベースになります。

低位シナリオ:採用率 0.5%

品質・歩留まり課題が残り、限定高級車への搭載にとどまるケースです。2030年のEV向け固体電池出荷は15GWh、価格レンジ120〜150$/kWhを前提に、市場規模は18〜22.5億ドルとなります。

基準シナリオ:採用率 2%

プレミアムEVを中心に複数OEMが限定量産へ入るケースです。出荷は60GWh、市場規模は72〜90億ドル程度となり、2030年前後に商業的な存在感が明確になります。

高位シナリオ:採用率 5%

量産立ち上げが比較的順調に進み、上位セグメントで採用が広がるケースです。出荷は150GWh、市場規模は180〜225億ドルまで拡大する計算になります。

市場拡大までのステップ

固体電池の成長予測は、単年のニュースだけでは判断しにくく、量産化に向けた段階を追って見る必要があります。特に2027〜2029年の初期商用化と、2030年代前半の拡大量産の間には、技術・コスト・需給のギャップがあります。

1

研究開発〜実証

界面設計、寿命、安全性、材料選定を進める段階

2

パイロット生産

歩留まり、工程速度、乾燥環境、品質安定性を検証

3

限定商用化

プレミアムEVや限定地域・限定車種で先行採用

4

量産拡大

2030年代前半にコストと信頼性が整えば市場が拡大

用途別の採用見通し

固体電池の市場規模は用途ごとに立ち上がり方が異なります。EV向けは性能価値を価格に転嫁しやすい一方、定置用はコスト圧力が強く、採用条件がより限定的です。

参考図:Li-ion電池価格の長期低下トレンド

BloombergNEFによるリチウムイオン電池パック価格トレンド

BloombergNEFの図では、リチウムイオン電池パック価格が長期的に低下してきた流れの中で、2025年平均が108$/kWhに達した位置づけが確認できます。固体電池の市場成長を考える際は、この既存電池の価格下落が重要な比較軸になります。

この市場を読むうえでの実務的ポイント

固体電池の市場規模は、現時点では「能力発表」よりも「実際に歩留まりを伴って売上化できるか」で見る必要があります。発表済み容量が大きくても、工程の安定化や品質保証が追いつかなければ、想定どおりの立ち上がりにはなりません。

また、Li-ion価格が108$/kWhまで低下している環境では、固体電池は単なる次世代技術としてではなく、車両価値や安全設計の簡素化を含めたシステム価値で説明する必要があります。

そのため事業計画では、「採用率 × 価格」の感度分析に加えて、四半期ごとの技術進捗、OEM採用時期、量産工程の成熟度を連動させて更新していくことが有効です。

主要プレーヤーと関連情報

固体電池の成長予測を考えるうえでは、各社の公式ロードマップや量産検証の進捗も重要です。市場はまだ立ち上がり前夜の段階にあり、企業のタイムラインがそのまま市場形成の速度に影響します。

OEM

Toyota Motor Corporation

2027〜2028年頃の実用化目標が示されており、固体電池の商用化タイムラインを考えるうえで代表的な参照先です。

量産検証

Honda Global

量産工程やコスト検証を重視する姿勢が明確で、研究開発から商業化へ移る難しさが読み取れます。

中期計画

Nissan Global

FY2028を目標年としたロードマップが示されており、日本勢の市場参入時期をみるうえで参考になります。

 

ページTOPに戻る