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スマートグリッド / 電力DX / AMI

電力スマートメーター
市場調査レポート

日本市場では全面設置フェーズがほぼ完了しつつあり、今後は検定満了に伴う更新需要と、次世代機能・セキュリティ・データ利活用が成長ドライバーになります。本ページでは、国内外の市場構造、制度、技術トレンド、主要プレーヤーを整理し、電力スマートメーター市場の現在地を俯瞰します。

約8,150万台
日本の設置済み台数(2023年度末)
約7,398万台
日本の更新計画台数(2025〜2034年度)
2.4B
世界の電力スマートメーター接続数(2035年予測)
$21.81B
世界の電力スマートメーター市場規模(2030年予測)
エグゼクティブサマリー

電力スマートメーター市場は、日本では「設置の市場」から「更新と高度化の市場」へ移行しています。2023年度末時点で約8,150万台が設置済みとなり、普及フェーズは終盤です。一方で、2025〜2034年度には検定満了対応を中心に約7,398万台の更新計画が示されており、ここが次の大きな需要の山になります。グローバルでも、スマートメーターは単体機器の市場から、通信・HES・MDMS・分析・セキュリティを含むプラットフォーム市場へ重心が移っています。

日本市場の論点

国内では設置完了が近づいたことで、新規設置よりも検定満了に伴う更新工事、次世代仕様対応、施工力確保、通信環境差への対応が市場テーマになっています。

制度面では、設置拒否、検定有効期間、Bルート運用、データ利活用の同意設計など、技術だけでなく運用面が市場形成を左右します。

国際市場の論点

世界では、配電網デジタル化、需要側柔軟性、再エネ統合、DER制御などの文脈でスマートメーター投資が継続しています。

ただし、普及が進んだ地域ではハード投資が踊り場に入り、今後は分析・資産管理・需給調整など運用高度化への投資比重が高まります。

競争軸の変化

競争軸はメーター本体の価格だけではありません。通信方式の柔軟性、ファームウェア更新性、エッジ処理、認証設計、セキュリティ規格適合、データ基盤連携が差別化要因です。

日本のユーティリティ向けでは仕様統一が強いため、量産供給力とコスト妥当性が引き続き重要です。

日本市場:設置完了から更新需要へ

国内市場の見方として重要なのは、普及台数だけではなく、設置フェーズから更新フェーズへの転換です。2020年から2023年度末にかけて設置が急速に進み、その後は検定満了対応が需要の中心になります。

2020年3月:設置 約6,105万台

全国的に大量設置が進む普及フェーズ中盤から後半の局面。スマートメーター導入が本格的な設備投資テーマとして続いていた時期です。

2021年3月:設置 約6,917万台 / 世帯普及率85.7%

設置は全国的に進展し、単なる導入からデータ利活用・制度整備・利用者接点の改善へと論点が広がり始めました。

2023年度末:設置 約8,150万台

ほぼ設置完了圏に達した水準です。設置拒否約4万件への対応や、次世代スマートメーターへの移行準備が市場の主要テーマになっています。

2025〜2034年度:更新 約7,398万台

検定満了対応を中心とした大規模更新需要が計画されています。ここで本体交換だけでなく、通信・セキュリティ・データ基盤更新も同時に進む可能性があります。

日本市場の本質は「第二の需要波」にある

全面設置の一巡で新規設置需要は縮小しますが、電力量計には検定有効期間があるため、更新需要は制度的に発生する点が重要です。電力・ガス取引監視等委員会の資料では、2025〜2027年度に約1,836万台、2028〜2034年度に約5,562万台の検定満了対応が想定されており、単純平均では前期3年で年約612万台、後期7年で年約795万台の更新規模が示唆されます。

つまり、日本の電力スマートメーター市場は縮小市場ではなく、更新を起点にした再投資市場として捉える方が実態に近い構造です。

市場規模と成長予測

市場規模の数値は、電力のみか、ガス・水道を含むか、ハードのみか、ソフト・サービスを含むかで大きく変わります。そのため、出典ごとの定義差を前提に整理する必要があります。

区分 出典ベースの数値 期間 示唆
日本の設置済み台数 約8,150万台 2023年度末 国内はほぼ全面設置フェーズを終え、今後は更新投資へ比重が移る。
日本の更新需要 約7,398万台 2025〜2034年度 検定満了対応だけでも大規模な再投資需要が見込まれる。
世界の電力スマートメーター接続数 1.42十億 → 2.4十億 2025年末 → 2035年 電力が最大母数。筆者算出ベースでは年平均成長率は約5.39%。
世界のスマートメーター総接続数 2.14十億 → 3.89十億 2025年末 → 2035年 ガス・水道も含めた全体では年平均成長率約6.16%。
世界の電力スマートメーター売上 116.5億USD → 218.1億USD 2022年 → 2030年 Grand View Research定義では、電力分野単体でも着実な拡大が見込まれる。
世界のSmart Meter Market全体 263.6億USD → 461.4億USD 2024年 → 2030年 MarketsandMarkets定義では電力・ガス・水道を含む包括市場として高成長が想定される。
主要プレーヤーと製品比較

グローバルではメーター単体ではなく、AMI、HES、MDMS、エッジ分析、通信冗長化まで含めたソリューション競争が進んでいます。日本市場では仕様統一が強く働くため、供給力と標準適合が大きな意味を持ちます。

企業 代表製品・シリーズ 通信・IF例 特徴 市場示唆
Landis+Gyr E360 LTE Cat.M1 / NB-IoT セルラーIoTやモジュラファームウェア、セキュリティ設計を強調。 セルラー系通信の採用が進む市場で競争力を持ちやすい。
Itron OpenWay Riva Electricity Meter RF / PLCを動的切替 Adaptive communications とエッジ処理の概念を前面に出す。 DER統合や配電運用高度化など高機能案件向き。
Honeywell AS3500 モジュラ通信構造 C&I向け計量や改ざん耐性、スマートグリッド統合を重視。 産業・商業計量の高度化市場で存在感を持つ。
大崎電気工業 スマートメーター各種 国内仕様準拠 通信機能・遠隔開閉機能を持つ電子式メーターとして展開。 日本の更新需要局面では量産供給力が重要。
三菱電機 三菱スマートメーター B/NET、MODBUS RTU、無線 30分データ保持、通信取得、開閉器ON/OFFなど産業用途機能を展開。 工場・ビル・EMS統合のサブ市場で有力。
富士電機メーター 市販向けスマートメータ Aルート:920MHzメッシュ / PLC、Bルート:Wi-SUN 設置環境に応じたマルチ通信方式対応を明示。 通信環境差への適応力が価値になる。
東光東芝メーターシステムズ SmaMeシリーズ RS485、PLC等 共同検針やマンション向けなど設置環境別の通信選択を用意。 共同住宅・ビル周辺市場で差別化しやすい。
技術トレンド

次世代スマートメーターでは、単に検針を電子化するだけではなく、通信柔軟性、標準機能、データ粒度、セキュリティ、UXが設計要件になっています。

機会と課題

日本市場では更新需要が確実に存在する一方、その実装には施工・通信・認証・制度適合など複数の制約条件があります。市場機会と課題は表裏一体です。

主な機会

2025〜2034年度にかけての更新需要は、メーターハードだけでなく、通信機器、HES/MDMS、セキュリティ更新、施工、保守運用、データ利活用サービスまで波及し得ます。

また、再エネ統合、DR、VPP、HEMSとの接続が進むほど、スマートメーターは単なる計量機器ではなく、エネルギーサービスの入口になります。

主な課題

課題は、更新工事の平準化と施工体制、通信環境差への適応、Bルートの運用UX、セキュリティ規格適合と検証コスト、データ活用時の同意・匿名化設計です。

これらは次世代仕様検討や費用検証の場で明示的に扱われており、技術優位だけでは突破しにくい領域です。

結論:日本市場は「設置完了後の再成長局面」

電力スマートメーター市場は、日本では設置拡大の局面を越え、更新・高度化・データ活用の市場に入りました。今後の勝負は、価格だけでなく、通信柔軟性、施工対応力、セキュリティ実装、データサービスへの接続力で決まります。

 

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