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FTTHに乗り出すケーブル会社

FTTHに乗り出すケーブル会社

日本ではFTTHといえば電話会社、NTTの領域である。しかし、アメリカでは、Comcast, Charterを始めとするケーブルTV会社がFTTHに乗り出している。
今回は、ケーブル会社を同軸配信網からファイバ網に駆り立てている動機を考察する。

現状分析

元々、アメリカのブロードバンドサービス市場では、ケーブルTV会社が電話会社に先行し、高いシェアをもっていた。

これに対し、電話会社はDSLに加えてFTTHを投入しているが、なかなか追いつかないうちに、電話会社の売上げの過半が携帯電話になってきている。
以下にAT&T, Verizon, 二社の2015年売上げ構成を示すが、携帯電話関連の売上げが増えてきている。

携帯電話関連 固定電話等 合  計
AT&T 75,353 (51%) 71,448 (49%) 146,801 (100%)
Verizon 91,680 (70%) 39,940 (30%) 131,620 (100%)
合 計 167,033 (60%) 111,388 (40%) 278,421 (100%)

一方、ケーブル会社の状況を見る。

You TubeやFulu、Netflix等のOTTベンダーが出てきた当初、彼らはケーブル会社からは脅威と思われていた。しかし、実際に起きた事はインターネット回線需要が増え、消費者からのケーブルインターネット契約の増加であった。

かつてAT&Tが地域電話サービスを分離した時に起きたことは、AT&T・MCI・Sprint等の市外通信事業者の激しい競争とそれによる回線需要の喚起と地域電話会社はタナボタ式の高収入であった。同じことが、今、ケーブル会社におきている訳である。しかも、中小企業からのインターネットアクセス回線の獲得も順調に進んでいる。 Comcastのビジネスサービス部門はこの3年間、20%成長を続けている。

こうなってくると、ケーブル会社にとっては、より広帯域のインターネットアクセス回線の提供が課題になってくる。 同軸インフラをHFC (Hybrid Fiber Coax)に更新したのは2000年前後であったこともあり、70%に達するブロードバンド未加入者を獲得する為にも、インフラをFTTHに更新する時期としても、このタイミングは説得力があると思われる。

HFCインフラのFTTHインフラへの更新に向けて

下図にケーブル会社のHFCインフラの構成を示す。
ケーブルTVは放送サービスであるので、本来は、同軸ケーブルは共有メディアであるのだが、VoDサービスの開始とともに各加入者へのチャンネルリソースの割当てが必要となり、HFCの導入が始まった。このチャンネル割当がインターネットアクセスサービスにも転用され、ケーブル会社のブロードバンドサービスが始まった。

HFCインフラ構成

更に、一世帯に割り当てるチャンネルリソースを拡大するため、FTTHに更新されて行く。この段階ではアクセスインフラが更新され、帯域拡大の準備は完了しているが、宅内設備の更新がなされていないため、サービスの拡大は限定的である。

RFoG(Radio Frequency over Grass) インフラ構成

今後、インフラのファイバ化が一定範囲に達したとき、PONをWDM技術にてオーバレイさせ、下図のような構成にするのであろう。

この構成になった時、ケーブル会社のインフラは大容量アクセスシステムとなり、OTTサービスも柔軟に対応できるようなシステムとなり、電話会社のFTTHサービスにも対抗できるようになるのであろう。

ケーブル会社向けFTTH (PON + RFoG) インフラ構成

終わりに

2000年頃、Comcastを始めとするケーブル会社がインフラをHFCに更新している状況を見て筆者が考えていたことは
– ケーブルインフラは、シェアドメディアである限りブロードバンドサービスへの対応には技術的に限界がある。
– 電話会社は、体力 (資本力・組織力・売上げ規模)において、ケーブル会社に優る。
– ブロードバンドサービスで、ケーブル会社が現状先行していても、いずれは体力で優る電話会社が必ず逆転するであろう
ということであった。

しかし、実際に起きていることは、今でもケーブル会社はブロードバンドサービスでも先行しているし、その勢いは止まる気配がない。それどころか、FTTHを取り入れることで、アクセス回線の大容量化を進めている。今後はこの勢いで、残り70%の未加入者の取り込みを進めていくのであろうか。

一方、電話会社は、資産売却もあって固定電話サービスを縮小させつつ、ブロードバンドサービスは思うように伸びていない。ビジネス的には携帯電話の売上げが過半を占めるようになっている点を鑑みても、今後、サービスポートフォリオをどのように再構築していくのであろうか、興味深いものがある。

結局、ケーブル会社と電話会社ではインフラ設備も提供サービスもほぼ同じということになる。体力の差を過信して「いずれは、逆転できる」と電話会社が考えているとすれば、それは大きな戦略ミスになるかもしれない。

更には自治体によるブロードバンドインフラ構築、Googleによるブロードバンドインフラ構築(Google Fiber)がある。 モバイルブロードバンドもある。もっとも、これは、AT&T・Verizonが優位な領域ではあるが。

これらが、今度、どのように競合・協調をするか。FCCはどのような規制を進めていくか。
結果、米国のブロードバンドサービス・インフラはどのようなものになるか。
非常に興味深いものがある。

日本のケーブル会社は、この米国の動きをどのように取り入れるか?

又、日本のインフラ機器ベンダは、この動きに対してどのようなスタンスで望むのか。  今後、ケーブルTV会社が有力顧客として現れてくる。彼らとどのようにつきあうか?
又、PON機器は、RFoG機器にWDMでオーバレイされる形になる。RFoG機器ベンダとどのように付き合うか?

電話会社向けFTTH機器市場では、Nokia (旧Alcatel)やHuaweiが有力であるが、ケーブル会社向けFTTH機器市場では、別の力学・プレイヤがいるであろう。
このゲーム・ルール・土俵の違いをチャンスとすることができれば、日本メーカにも次のチャンスがある可能性もあるのかもしれない。

データリソース社が、御奨めする「FTTH関連」調査レポート

■ ブロードバンドアクセス卸売のベンチマーク:4Q15Wholesale Broadband Access Benchmarks: 4Q15
発行元 Ovum- Informa Telecoms & Media 発行年月日 2015年12月

■ 2016年の注目動向:有線ブロードバンドアクセス2016 Trends to Watch: Wireline Broadband Access
発行元 Ovum- Informa Telecoms & Media 発行年月日 2015年12月

■ 市場シェアレポート:2Q15 FTTx、 DSLおよびCMTSMarket Share Report: 2Q15 FTTx, DSL, and CMTS
発行元 Ovum- Informa Telecoms & Media 発行年月日2015年9月

■ 消費者によるブロードバンド契約と収益予測:2015-2020年Consumer Broadband Subscription and Revenue Forecast: 2015-2020
発行元 Ovum- Informa Telecoms & Media 発行年月日2016年2月

■ アジア太平洋地域の新興国におけるモバイル事業者向けFTTxネットワークとサービスFTTx networks and services for mobile operators in emerging Asia-Pacific: assessing the opportunity
発行元 Analysys Mason 発行年月日2016年1月

筆者:株式会社データリソース客員研究員 鈴木浩之 (ICTラボラトリー代表)

 

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