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米政府、Self-Driving System (SDS)を運転者と認定

1. 序

2016年2月4日、NHTSAが、 FMVSSにおいてはSDSを運転者とみなすと、いう決定を発表しました。
これは、レベル4の自律走行車では運転者は人間ではなく、SDSという仕組みであるということです。

NHTSA; National Highway Traffic Safety Administrationの略 「米連邦自動車安全基準」をさす。
FMVSS; Federal Motor-Vehicle Safety Standardの略 「米運輸省道路交通安全局」をさす。
SDS; Self-Driving Systemの略 「自律運転システム」をさす。

2. 背景

ここで、ここに至るまでの背景を、改めて説明します。
自律走行のレベルには、0~4までの5段階があり、今回はレベル4の自律走行車を想定していいます。

レベル 自律化の範囲・程度
0 ドライバーが常にすべての主制御系統(加速・操舵・制動)の操作を行う。
1 加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う状態。
2 加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態。ドライバーは常時、運転状況を監視操作する必要がある。
3 加速・操舵・制動を全てシステムが行う。緊急時やシステムの限界時には、システムからの運転操作切り替え要請にドライバーは適切に応じる必要がある。事故時の責任はドライバーとなる。
4 加速・操舵・制動を全てドライバー以外が行い、ドライバーが全く関与しない。安全に関わる運転操作と周辺監視をすべてシステムや外部に委ねる。

FMVSSは、搭乗者・歩行者の安全を確保するために、自動車が持つべき要件を定義しています。たとえば、「ブレーキは運転者に届く範囲内にあること」といったことが決められています。

 

実は、Googleは、2014年6月にハンドルもブレーキも無い自律走行車のプロトタイプを公開し、試乗会を開催している。

この自律走行車の開発を更に進めるにあたって、連邦自動車安全基準 (FMVSS) との整合性が問題になり、今回、Google のプロジェクト責任者がNHTSAに質問を出し、NHTSAが、考え方を示した、ということになります。
例えば、「ブレーキは運転者に届く範囲にあること」とは、自律走行車においてはどのような形態を指すか、ということになります。
今回、SDSが運転者になったことで、SDSとブレーキの間にケーブル配線がありSDSからブレーキの操作ができれば良くブレーキペダルは不要、ということになりました。

3. 今後へのインパクト

この決定は、今後の自律走行車開発や自動車産業にどのようなインパクトを持つでしょうか? そのいくつかをリストアップして、今回は、終わりたいと思います。

1) SDSと車内機器の配線の設計・実装で主導権をとるのはITベンダ、自動車メーカのいずれでしょうか? 今のところ、どちらとも予測もつきませんが、今後、ITベンダがTier1/Tier2ベンダと提携し、一方、完成車メーカもここをチャンスと考える新旧ICTベンダと提携し、更には、この技術の境目をチャンスとして中国・インド・韓国が市場参入を図る、ということで、戦国時代並みの、入り乱れての競争が始まるでしょう。

2) 今後、SDSと車内機器の間の配線・実装にNHTSA等の規制機関が関与することが増えてくるでしょう。その動きは各国で起きるはずですから、その段階で標準の共通化が推進されるでしょう。第一歩は米国が取りましたが、今後、日本も規制機関・完成車メーカ・Tier1/Tier2ベンダでの取り組みが必要と思われます。

3) 2015年2月、Uberがカーネギーメロン大学と提携し自律技術の研究所を開設しました。今は、Uberのサービスも個人所有の車を使った配車サービスですが、今後、自律走行車を使った配車サービスも提供していくのでしょう。
レベル4自律走行車が拓いた「売ってナンボ」がビジネスの自動車メーカと「使いまわしてナンボ」がビジネスのシェアドサービスプロバイダの間の競合がどうなるか?

4) 今回、SDSが運転者ということにはなった。しかし、事故を起こした時の賠償責任を負うのは誰かということは、これからである。今後の展開に注意したい。

4. 終わりに

1980年代、世界の10大通信メーカは、日本で2社、北米で3社、欧州で5社でした。その後、通信産業の民営化・国際標準の深化・LANの普及・新興国の台頭により、2015年、世界の主要メーカは、日本で1社、北米で3社、欧州で3社、中国で2社、韓国で1社となりました。

自動車業界にも、自律走行車、テレマティクス、電気自動車、国際標準、新興国 (中印で30億人)、シェアドエコノミー等々の色々な大波が来ています。
日本企業の活躍に期待しています。

データリソース社が提供するSDS関連レポート

自律走行車のOEM18社の戦略と実行評価 ( Navigant Research 2015年9月)

自律走行車:導入、規制、ビジネスモデル2015-2025年 (Juniper Research 2015年12月)

世界の自動運転車市場の分析と予測:先進運転者支援システム(ADAS)と自律運転の革新的機能 (Navigant Research 2015年8月)

世界の自律走行車技術市場:2020年までの市場予測と市場機会 (TechSci Research 2015年6月)

【分析レポート:アプリケーション】利用ベースの自動車保険 (ABI Research 2015年12月)

筆者:株式会社データリソース客員研究員 鈴木浩之 (株式会社ICTラボラトリー代表取締役)

 

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