2012年第4四半期、大手ネットベンダーからの端末が出揃った。ここで、各社の比較を行ってみたい。
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4”ディスプレイ |
7”ディスプレイ |
10”ディスプレイ |
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Apple
1) サービス
2)通信方式
3)アプリマーケット
4) 価格
5)パートナー
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iPhone
- 通話/ネット接続/音楽/カメラ
- 3G携帯/LTE/WiFi
- App Store
- $199~
- 無し
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iPadmini
- ネット接続/音楽/カメラ
- 3G携帯/LTE/WiFi
- App Store
- $329~
- 無し
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iPad
- ネット接続/音楽/カメラ
- 3G携帯/LTE/WiFi
- App Store
- $499~
- 無し
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Google
1) サービス
2)通信方式
3)アプリマーケット
4) 価格
5)パートナー
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Nexus4 (LG製)
- 通話/ネット接続/音楽/カメラ
- 3G携帯/LTE/WiFi
- Google Play
- $199~
- 多数の携帯端末ベンダー
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Nexus7 (ASUS製)
- ネット接続/音楽/カメラ
- 3G携帯/LTE/WiFi
- Google Play
- $199~
- 多数のPCベンダー
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Nexus10 (Samsung)
- ネット接続/音楽/カメラ
- 3G携帯/LTE/WiFi
- Google Play
- $399~
- 多数の携帯端末ベンダー
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Amazon
1) サービス
2)通信方式
3)アプリマーケット
4) 価格
5)パートナー
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無し |
Kindle Fire HD
- 電子書籍/ネット接続/音楽/カメラ
- LTE/WiFi
- Androidアプリストア/Amazonアプリ
- $199~
- 無し。本端末はAndroid端末
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Kindle Fire HD 8.9
- 電子書籍/ネット接続/音楽/カメラ
- 3G携帯/LTE/WiFi
- Androidアプリストア/Amazonアプリ
- $299~
- 本端末はAndroid端末
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Microsoft
1) サービス
2)通信方式
3)アプリマーケット
4) 価格
5)パートナー
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無し
- 多数の端末ベンダー
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無し
- 多数の端末ベンダー
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Surface RT
- ネット接続/音楽/カメラ
- WiFi
- Windows Store
- $199~
- 多数のPCベンダー
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さて、この比較表から、読者のみなさんはどのような感想を得たであろうか?以下、私が得た感想を記していく。皆さんの一助になれば幸いである。
AppleとMicrosoftの通信事業者連携戦略の相違
ラインアップ整理の段階が異なるということもあるのだろうが、通信事業者との連携をどう考えるかが異なっている。Appleは、iPod+携帯電話+ネットアクセスデバイス = iPhoneとし、iPadもその発展系であり、世界の主要通信事業者と連携し、LTE/3Gもサポートしている。ここには、「最高のユーザ体験を提供する」というAppleの基本ポリシーも反映されている。
一方、Microsoftは、タブレットは10″ディスプレイのみで、LTE/3Gをサポートしていない。
もっとも、Microsoftのビジネスの中心はWindows Server/Sharepoint/Windows Azureであり、これらとタブレットの関係でベストプラクティスを提示できればそれで十分、通信事業者と連携したWindows8搭載のタブレット/携帯端末は従来型携帯端末メーカ・PCメーカが出してもらえればいいという考えなのかもしれない。
AppleとAmazonの戦略の差は端末のディスプレイサイズに現れる
Amazonとしては、自社端末は電子書籍リーダ・ネットショップのゲートウェイとなってもらいたい訳であるから、4″ディスプレイ端末は不要である。書籍データもダウンロード後の利用であるため、常時のリアルタイム通信の必要性は低く通信事業者連携の重要度も高くはない。また、収益は物販で確保するので、端末で収益を確保する動機は薄い。こういった諸々の事情は、下表に表れている。
なお現在、Amazonの電子書籍リーダはApple app store, Google Playでも入手可能である。Amazonとしては他プラットフォームでも自社の電子書籍フォーマットのシェアを上げることで、競合の電子書籍リーダーのシェアを奪い、Kindle storeの販売を促進する狙いがあるのだろう。
安定したビジネスモデルのAppleと今後の展開に含みのあるGoogle
端末の特徴、バックにある仕掛け等はほとんど同じである。ただ、製造・販売体制がまったく異なる。Appleはすべて自社ブランドだが、Googleはすべて他社ブランドである。
今後のGoogleには二つの方向が考えられる。一つは端末製造事業への支配力を強くすること。これは、2011年8月に買収したMotorolaの30%シェアを活用すればできないことではない。もう一つは、ネットへの入口としての自社ポジションを強化すること。これは、12月13日にGoogleが発表したiPhone向け地図アプリにその一端がうかがえる。
独禁法問題にも関心が集まるなか、市場支配を露骨に行うと現在のAndroid端末の製造・販売ベンダーが離反し、結果的にネットへの入り口というポジションを失うことになりかねない。これからGoogleがどのような動きをとるのか、見ていきたい。
このように比較すると、各社端末は「画面上で利用できるサービス」はほぼ一致しているとはいえ、起源となったビジネスモデルと今後のビジネスモデルの方向がうかがえるようで興味深い。
日本のメーカにも自社のビジネスモデルも考慮しつつの健闘を期待したい。
最後に、Display Search社が発表したスクリーンサイズ別の需要予測を示す。
この市場がどうなっていくかのシミュレーションにあたっては、想定される利用シーン・OS種別、ベンダーの思惑等々、色々なファクタを考える必要があり、まだまだ目が離せない。

Worldwide Tablet PC Shipment Share Forecast by Screen Size (Display Search社)
参考文献
Display Search社 年間プログラム (詳細は、弊社にお問合せください)
Tablet PC Market Forecast to Surpass Notebooks in 2013, NPD DisplaySearch Reports (Display Search社)
The Mobile User Interface Market 2012-2017: UI in the iPhone, Android, and Windows Era (Visiongain社)
Smartphone, Media Tablet and Handset US Survey Results (ABI Research社)
筆者: 株式会社ICTラボラトリー 代表取締役 鈴木浩之