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クラウドサービス – 現在・過去・未来 - 今後の展望を見る

■多様なクラウドサービスが花盛り

クラウドサービスの利用が急速に拡大している。

「所有から利用へ」を合言葉に急成長するクラウドサービスだが、その背景には有線・無線のブロードバンドインフラの普及や、クラウドインフラを構成するサーバー収納先のデータセンターの整備、クラウドの基本分類であるSaaS(注1)・PaaS(注2)・IaaS(注3)やソーシャルメディアの技術的成熟と普及、オンデマンドコンピューティング、加速する端末の多様化とモバイルの進展などの多様な要因がある。

しかし、クラウドの定義はIT全般と広く密接に関連し、全貌を把握するのはなかなか難しい。

これは、バーチャルコンピューティングを利用したクラウド基盤さえ用意すれば、SLA(注4)型の企業向けサービスもコンシューマー向けのベストエフォート型Web サービスもクラウドサービスとして提供できるため、利用するユーザーごとに「クラウド」という言葉の示すものが異なってくるためだ。さらに共有の基盤を利用するのではなく、企業が独自のクラウド基盤を構築するプライベートクラウドや、同一業種の数社が基盤を共有するコミュニティクラウドなど、基本となるテクノロジーは共通していてもサービスの形態は千差万別だ。

更には、プライベートクラウドの構築にあたって、一部の基盤をamazonやGoogleなどのパブリッククラウドサービスを組み合わせて提供するハイブリッドクラウドももはや特別な提供形態ではなくなっている。

■クラウドサービスが改善するコストと時間

クラウドサービス利用の動機として、ユーザーのコスト削減とビジネススピード向上のニーズがある。事業者から提供されるリソースを利用するクラウドサービスでは、ビジネスの成長にあわせたリソースの追加などがオンデマンドでスピーディーに可能となり、導入時から余裕を持たせた調達、開発を行う必要はない。

企業向けサービスの構築にあたっても、従来のシステム開発のようにSIerが機材を揃えて、一からプログラムを書いていくのではなく、PaaS上で多様なオープンソースをベースに複数事業者の公開API(注5)を基にマッシュアップで構築される部分が大きいため、サービス構築のコストとスピードは大幅に改善されている。

twitterやfacebookなど大規模なユーザーを抱えるソーシャルメディアと自社のWebの連携を図ったり、企業内でクローズドなSNS(注6)を構築したいというニーズが近年高まっているが、マッシュアップは特にこうしたケースで工数の大幅な削減と開発の高速化を実現する。また、SNSと密接な関連を持つ広告配信型のビジネスでも、クラウド利用とマッシュアップは重要なファクターとなっている。

■関心を集めるBPaaS

クラウドの分類として従来挙げられてきたIaaS・PaaS・SaaSに加え、近年はDaaS(注7)(=VDI(注8)、デスクトップ仮想化)をはじめとした、特定のユーザーニーズにフィットした形でのクラウドソリューションの提供も開始されている。

こうした新サービス群を総称してXaaS(注9)という呼び方もされる。

そのなかでも最近注目を集めているのがBPaaS(注10)だ。企業のクラウド利用は当初、Webなど、高度なセキュリティーを必要としない外向けのサーバーの置き換えから開始されたが、セキュリティーや稼働安定性の改善を受けて基幹業務へのクラウド利用が普及し始めている。

BPaaSは、企業のBPO(注11)をSaaSで提供するモデルだ。従来SaaSで提供されていたCRM(注12)やSFA(注13)に加えて、給与や保険、請求や決済の処理、コールセンター分析などのビジネスプロセス自体をクラウドサービスとして提供可能にする。こうしたサービスの運用を含めた提供には、今後大きなニーズが期待されている(なお、Gartnerは広告配信をBPaaSに含めているが、この連載では切り分けて考えていきたい)。国内でもNECが業種特化したサーバー型アプリケーションのクラウド化に注力するなどの動きが出てきている。

こうした広い範囲をカバーし、より高度なサービスを創造していくトライのすべてを含めた総称が現在の「クラウドサービス」だと定義できるだろう。

■クラウドサービスの市場とプレイヤー

これからしばらくの間、SaaS・PaaS・IaaSやBPaaS、ソーシャルネットワークサービス、広告配信サービス、これらを支えるクラウド形態 (パブリック、プライベート、コミュニティ、ハイブリッドなど)や機器(仮想サーバー、仮想ストレージ、仮想ネットワーク、端末)の市場、そしてこれらのサービス・機器に関わるベンダー・プレイヤーの動きを考察していきたい。

最後にクラウドサービスとエコシステム、主要なプレイヤーと市場規模の現状を図示しておく。今後も堅調な成長が予測されるが、固定したジャンルではないため、市場自体のダイナミックな組み替えも含む変化が予測される。

クラウドサービス エコシステム

 

エリア プレイヤ/ブランド
SaaS/PaaS/IaaS/BPaaS Sales force.com, Amazon Web Service, Windows Azure, Google Apps, office365, Apple iCloud, evernote, dropbox, sugarsync
Social Media facebook, twitter, LinkedIn, Google+, foursquare, pinterest, zynga,
Private Cloud IBM, HP, Dell, Cisco, EMC, Oracle, VMware, Citrix Systems
e-commerce Amazon, Double Click, Adwords, Adsense, タオパオ、楽天
その他 検索エンジン (Google, Bing), Skypeネットワーク (LTE(注14), 光アクセス、ブロードバンド)
Technology Hadoop, ビッグデータ, 仮想サーバ, 仮想デスクトップ、仮想ネットワーク、iアプリ, アンドロイドアプリ, PUE(注15), スマートフォン, タブレット, ウルトラブック, BYOD(注16)

 

出典; 広告売上げはBIA Kelseyの米国シェア予測
それ以外はForrester社のグローバル予測を使用

クラウドサービス市場規模予測 (単位はUS Billion$)

 

■クラウドサービス関連資料はこちらから

Private Cloud Computing Market & Forecast to 2015: Worldwide Analysis
世界のプライベートクラウドコンピューティング市場の分析と2015年までの予測
ttp://www.dri.co.jp/auto/report/renub/renprivatecloud.html

Cloud Application Marketplace 2012 – 2017
クラウドアプリケーションのマーケットプレイス 2012-2017年
ttp://www.dri.co.jp/auto/report/mindc/mcloudappmp.html

Big Data in ICT and Telecom: Transforming Industry Verticals 2012-2017
ICTと通信業界におけるビッグデータ 2012-2017年:垂直産業に変化をもたらす
ttp://www.dri.co.jp/auto/report/mindc/mcictbigdata.html

Private Cloud Computing Market & Forecast to 2015: Worldwide Analysis
世界のプライベートクラウドコンピューティング市場の分析と2015年までの予測
ttp://www.dri.co.jp/auto/report/renub/renprivatecloud.html

Cloud Gaming
クラウドゲーム:テレビゲーム産業に与える変化とは
ttp://www.dri.co.jp/auto/report/idate/idcloudgaming.html

SaaS/PaaS/IaaS/BPaas 世界市場規模 2011年~2014年)
ttp://itbizcharts.blogspot.jp/2011/11/global-saas-paas-iaas-and-bpaas-market.html

Gartner Says Worldwide Social Media Revenue Forecast to Reach $16.9 Billion in 2012
ttps://www.gartner.com/it/page.jsp?id=2092217

筆者: 株式会社ICTラボラトリー 代表取締役 鈴木浩之


1. Software as a Serviceの略称

2. Platform as a Serviceの略称

3. Infrastructure as a Serviceの略称

4. Service Level Agreementの略称

5. Application Programing Interfaceの略称

6. Social Networking Serviceの略称

7. Desktop as a Serviceの略称

8. Virtual Desktop Infrastructureの略称

9. X as a Serviceの略称

10. Business Process as a Serviceの略称

11.  Business Process Outsourcingの略称

12.  Customer Relationship Managementの略称

13.  Sales Force Automationの略称

14.  Long Term Evolutionの略称

15.  Power Usage Effectivenessの略称

16.  Bring Your Own Deviceの略称

 

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